2016.03.11
今も昔も、カラオケは日本の心。老いも若きも、みんな笑顔でアッパー状態。カラオケこそ、日本が世界に誇る魅惑の文化。そう信じてやまなかったのに最近、「若者のカラオケ離れ」「縮小するカラオケ業界」などという哀しいタイトルの記事をよく目にするようになった。はて、本当に若者はカラオケに行かないの?カラオケ産業は衰退している?そんな謎を紐解こうと取材を続けるうちにたどり着いたtokyowise的・東京現代カラオケ事情。まずは、こちらからご覧いただきたい。
若者の真実は、「なんてったって、カラオケ!」
「カラオケですか?付き合いなら行きますけど、自分から進んでいくことはないですね」 「オールで歌うとか、まずあり得ないです」 「終電逃した時は、マンガ喫茶かな。シャワーもあるし、眠れるし」など、周りのゆとり世代の若者からは、かなり冷めた声が多数上がった。
朝日が昇るまで、夜通し熱唱、当たり前。カラオケと共に青春を謳歌してきたコムロ世代(主に30代半ば~後半)の筆者としては、今日のカラオケよりも、明日の自分に備える保守派の彼らに対して、ジェネレーション・ギャップを感じずにはいられなかった。年を重ねるとはこういうことか。しかし、こうした若者は、あくまで一部だったもよう。
全国カラオケ事業者協会発行の『カラオケ白書2014』によれば、「過去1年間のカラオケ利用状況」の年代別の割合は、10代が最も高く70.6%、次いで20代の58.2%。最も低い年代は意外にも60代以上で、わずか28.1%です。つまり統計上、最もカラオケに親しんでいる世代は10代・20代といった、いわゆる「若者世代」なのです。
こう語るのは、エンジョイシング代表・日本で唯一のカラオケ評論家・唯野奈津実氏だ。数字は嘘をつかない。やはり、若者は今もカラオケを楽しんでいるのである。彼らより年上のコムロ世代、バブル世代、プラチナ世代の人々が、「カラオケボックスで、若者に遭遇する機会が減った」と感じるのは、単純に、行く時間帯やエリアが異なるといった、利用スタイルの違いに起因していると考えられる。
ママカラ、ヒトカラ、オンライン英会話!?多様化する東京カラオケ事情
カラオケボックスが初めて登場したのが1985年。その後、1990年代半ば頃に迎えた最盛期に比べれば、相対的なカラオケ人口は減っているが、「カラオケ白書」によると、2000年以降、約4600万~約4800万人を安定して推移している状態だ。
唯野氏いわく、「さらに直近の4年を読み解けば、4640万人→4680万人→4710万人→4740万人と、わずかではありますが、カラオケ人口は増加しています」。衰退どころか、カラオケ産業は今もなお、盛況中なのである。しかし、以前と大きく違うのは、利用方法や設備が多様化されていること。今の東京カラオケを代表するものに、次の3つが挙げられる。
その1 子連れの若いママ同士でワイワイ交流!ママカラ!
・離乳食の持ち込みOK。子供用の食器や白湯の無料提供、絵本やぬりえなどの遊具はもちろん、授乳室まで用意してある店舗も。
・「カラオケ パセラ」のママ会プランはとりわけ充実。室料込み、料理10品、ノンアルコール飲み放題で、1人¥3,519。最長6.5時間の利用が可能。
・「コート・ダジュール」のファミリールームもママたちには人気。室内はクッション素材の柔らかい壁、ローソファーの安心安全設計。すべり台やブロックなど、子どもが遊べるプレイスペースも常備。
その2 心ゆくまでひとりで熱唱!ヒトカラ!
・上野、池袋、高円寺、新宿などに計10店舗を展開する一人カラオケ専門店「ワンカラ」が大人気。
・“コックピット”と呼ばれる各ルームには、プロ顔負けの高精度コンデンサーマイクを設置。角度や高さは自分好みに調整可能。フリーハンドで踊りながら歌うこともできる。
・飲み物はドリンクバーでセルフサービス。退出時間は画面表示で知らせてくれる。依って、カラオケ中、スタッフが部屋に入ってくることは一度もない。
・ヘッドホンは持ち込みOK。別途料金でレンタルも可能。
ちなみに、「カラオケ館」では、銀座総本店はじめ、33店舗に導入、都内有数のカラオケ激戦区・秋葉原の「カラオケ アドアーズ 秋葉原店」も、“一人カラオケ専用フロア”を設置し、全27部屋を提供するなど、大手チェーン店も続々、ヒトカラを取り入れる傾向にある。
その3 世界初、カラオケボックスで英会話レッスン!
・「ワンカラ英会話」は、カラオケボックスの個室を使って学ぶ世界初のオンライン英会話レッスン。
・好きな店舗で、好きな時に。当日、直前の予約もOK。
・室内に設置されたWebカメラ付きパソコンと、無料の通話ソフトSkype(スカイプ)を使って、フィリピン在住の講師とマンツーマンレッスンを受講。
・テキストはウェブ上に用意してあるので、仕事帰りに手ぶらで行ける。何なら、レッスン後、ヒトカラしてもOK!
その4 気分上々↑↑のカラオケ演出が満載!渋谷レインボー!
また、渋谷モディ8Fの「カラオケ レインボー」は、設備がとにかく凄い。ニューヨーク・ブルックリンの街並みを再現した全250席の広々とした空間には、しゃれた個室のほか、ギター、ベース、ドラムセットに音響システムまでそろう貸切のビッグスペースもある。カラオケ好きには嬉しいエンタメ演出がそろうが、料金は極めてリーズナブル。平日19時までなら、2時間室料は0円。ドリンクバー付きでも650円だし、金・土・日の19時以降も朝6時まで一律30分380円なり。
学生、主婦、ファミリー、おひとりさま、多忙を極めるビジネスマン&ウーマン…さまざまなライフスタイルに合わせて多様化したカラオケ模様は、東京ならではの進化と言えるだろう。しかし、今もカラオケを一番楽しんでいるのは先の通り、やはり若者たちだ。歌って発散、踊って発散、心身共にあースッキリ。ランニングやヘルシーフードもいいけれど、ナチュラル・デトックスできるカラオケこそ、いつまでも若々しく、健康でいるための元祖・特効薬なのかもしれない。
協力:唯野奈津実のカラオケの世界
http://enjoysing.com/