地価値上がりランキングTOP5入り 中央線、最古の駅「武蔵境」 哀愁の『へそ踊り』 Tales of HESO,MUSASHISAKAI

2017.06.26

Vol.18 中央線快速物語
地価値上がりランキングTOP5入り 中央線、最古の駅「武蔵境」 哀愁の『へそ踊り』 Tales of HESO,MUSASHISAKAI

みなさんは中央線の「武蔵境駅」でひと昔前、と言っても2000年頃の話なのだが、「へそ踊り」なるものが行われていたことを知っているだろうか。「へそ踊り」とは、裸体のお腹に顔を描き、頭部を大きな傘で隠して踊り歩くお祭りのことだ。意外なことに「へそ踊り」は、北海道は富良野市が発祥の地なのだそう。なぜにあの極寒の富良野でへそ?というイメージだが、富良野市が北海道の地理的中心であることに因んでおり、現在は北海道内のみならず、国内外から観光客が訪れる、夏の北海道を代表する祭りの一つになっている。群馬県渋川市でもほぼ同じ内容の「渋川へそ祭り」が開催されていて、これは日本のへそに因んだ祭りである。
そもそもだが、「武蔵境駅」がどこにあるか正確にわかる人はどのくらいいるだろうか。だいたい、中央線の中心(へそ)に位置する武蔵境駅は、1889年、中央線の前身である甲武鉄道の新宿駅〜立川駅開通と同時に「境駅」として開業した。そう、実は、武蔵境は今年で128周年を迎える、中央線の中でも最古の駅の一つなのだ。
その武蔵境は私の青春そのものである。同駅にある某都立高校に通っていた私は、ここから中央線への旅を始めた。吉祥寺、三鷹、新宿、武蔵小金井、立川、高尾山・・・。今回の中央線特集に「昔、武蔵境でへそ踊りしてたんですよ」と企画をアップしたところ、まさかの食いつき!通ってしまった。

武蔵境でなぜ「へそ踊り」なのか?


当時のへそ踊りの様子。(写真は「下田園」様より) 今回の主役「へそ踊り」のことを聞くべく、まず、武蔵野市役所に問い合わせてみたところ、「すきっぷ通り商店街」のお茶屋「下田園」の下田さんを紹介された。久々に武蔵境駅に降り立ち、すっかり変わってしまった駅の改札を通り、あまりにも景色が変わっていたため、一瞬、何口に出ればいいかわからなくなりながらも、北口に降り立つと、「すきっぷ通り」*1のアーチが遠目に見えた。懐かしさに胸を膨らませつつ、「すきっぷ通り」を歩く。お店自体はチェーン店が増えており、あまり懐かしさは感じられなかったが、タイル舗装で中央に向かって少し斜めになっている道路は変わらないままだった。

少し歩くと「下田園」が見えてくる。実は「下田園」の下田さんは、「すきっぷ通り商店街」の副理事長であり、武蔵境の前身である境村を開拓した一人、下田家のご子孫なのである。当然、商店街の中では一番古いお店なわけで、この武蔵境の駅前の歴史をずっと見てきているのだ。

お茶屋「下田園」 そもそもの話は平成元年にさかのぼる。その頃、世の中はバブル全盛期。「すきっぷ通り」は、東京都のモデル商店街事業の一環で、タイル舗装を行い、電柱を地下埋し、センター排水(だから中央に向かって斜めなんですね〜)にするという工事を大々的に行なった。同時期に駅が開業100周年を迎えたこともあり、何かイベントをしようという話が商店街の議題に上がった。そんなとき、当時武蔵境駅前にあった、今はなき「北海道拓殖銀行」の紹介で「北海へそ祭り」の存在を知ったのだそう。そして、富良野市と「すきっぷ通り商店街」が提携商店街のような形になり、ちょうど武蔵境駅は中央線の真ん中くらいに位置していて「へそ」っぽいしいいじゃん、ということで北海道から「へそ踊り」を東京に持ち込んだ、というのが始まりだそう。
第一回はプレみたいなもので、商店街の何人かが試験的にちょっと踊っておしまいという小さなイベントだった。しかし反応は良く、2年目からは一般公募して、学生や地域の住民も巻き込んで開催した。

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