2017.06.12
新宿から中央線快速で5分、サブカルの聖地と言われる中野駅周辺がザワついている。数年前に始まった駅周辺の大規模開発により、駅北口の改札は朝からサラリーマンと学生でごった返している。中野といえばOTAKUの聖地「中野ブロードウェイ」、アイドルの聖地「中野サンプラザ」(改築計画もあり)などなどに象徴される「玄人好みの町」というイメージが先行するが、北口側は小洒落たビルが一気に建ち並び、まるで様子が変わってきたのだ。老舗の“ブロードウェイ”に続き、新興“セントラルパーク”も出没、NYに憧れる(?!)中野はいったいどこへ向かうのか。
中野駅北口を出て西北へ。中野サンプラザと区役所の庁舎を通過して奥へ進むと見えてくるのが新しく整備された「中野セントラルパーク」の高層ビル。サウス棟にはキリングループの本社が入居し話題となった。なんでこんな名称にしたかは置いておいたとして、中野セントラルパークの目の前には約3haの緑地が広がる。企業戦士の安らぎと近隣住民の憩いの場として整備されたこの空間は確かに写真で見る限り、絵に描いたような理想的な緑地空間。だが、中野区在住歴16年の編集部員はこうもらす。
「ここはしょっちゅう“芝生養生中”の看板とロープが張られて、ぜんぜん使えない。それからビル風が半端ない。ここだけ年中、暴風地帯。これじゃあ安らげないよね…」
写真では素敵に映る緑地空間はビル風のせいで暴風地帯と化している。
取材で訪れたこの日もベビーカーを押した家族連れが花見をしようと試みていたが、風が強くてシートがうまく敷けずにいた。もちろん、2人とも暴風を受けて髪は洗濯機の中に入れられたように暴れまくっている。
緑地の奥にも何やら真新しい建物が並んでいるが、こちらは中野区が誘致した大学群。明治大学中野キャンパス、帝京平成大学に、寄宿舎を中心とする早稲田大学中野国際コミュニティプラザが林立している。駅前の若者の増加は間違いなくこの影響。駅周辺の昼間の人口は2万人増加したとも言われているのだ。
警察大学校跡地に立った私立大学のキャンパス。その昔はスパイ養成所(かの有名な陸軍中野学校!さらに江戸時代は徳川綱吉の生類憐みの令で保護された犬たちの集積所!)が置かれた土地。
開発が進むのは北口ばかりではない。中央線南側も再開発組合を設立、駅ビル構想を含めて計画が進む予定だ。近くにあった老朽化の進む公社住宅を再開発区域南側に移転、高層住宅と商業施設が立ち並ぶ街並みにする計画も持ち上がっているようだ。だがこの駅南側には閑静な住宅地も広がっており、住民との話し合いは続いている。そんな中、すでに百貨店のマルイ中野店(ちなみにマルイは中野発祥だとご存知?)の真横にはツインタワーマンションが出現していた。「中野にこんなシャレた建物ははいらないよね」と前出の編集部員はつぶやく。南口駅前再開発は2020年東京オリンピックとともに完成系に向かう予定のようだ。
南口にもタワマンが出現。
何しろ中野区は23区の中でも特別人口密度が高いことでも知られている。それだけ賃貸住宅や小さな家が多いということでもあるわけで。東京の再開発の例に漏れず、タワマン的などことも似たような街並みが出現するのではと危惧するのは、我々編集部だけではないはずだ。