中央線すごろく人生を送った本誌編集長による“中央線快速物語”の読み方 General review of editor-in-chief

2017.05.22

Vol.18 中央線快速物語

西へ東へ、オレンジ色は今日も走る


東京の真の大動脈。全長53.1km(東京-高尾間)という東京都のほぼ東端から西端までを駆け抜ける、通勤電車の雄<中央線快速>。
何がすごいと言って、その半分以上が東西一直線という素晴らしくストイックな走りを見せてくれるのだ。その間、23区のど真ん中を突っ切り、西東京の市部を分断し、ミシュランの聖地・高尾まで昼夜に渡り走る、本当の働き者なのである。
何しろ終電だって、ピカイチに遅くまである。東京、新宿、吉祥寺、立川、八王子などなど沿線にはキラ星のごとくの大繁華街を持ち、中野、高円寺、国分寺などなど個性の集合体のような街が並ぶ。
ね、そう考えると、中央線快速こそ東京を象徴する路線と言ってもいいでしょ。とかく、東横線だの井の頭線だのと私鉄礼賛の声も聞こえるが、中央線快速は国有鉄道発祥という、旧帝大みたいな存在なんである。格が違うのよ。
どこよりも早く複々線化し、快速停車駅以外にも優しい配慮をし、地下鉄東西線の乗り入れを快く受け入れ、総武線ですらおいでおいでと仲間にする懐の深さ。

街の面白さを堪能しよう


と、一見良いことずくめで、ラブリーな路線と褒めちぎる中央線快速。その裏に、東京という街が西へ西へと発達し、駅と駅が微妙にしのぎを削り、街々が必要以上に個性化していったようにも思えるのだ。特に東西一直線エリアでは“南北問題”と呼ばれる北口と南口の文化的異教化。私鉄接続が新宿以西では荻窪、吉祥寺やごく一部だけという中央線純粋主義者の勃興。高度成長期の宅地化の洗礼をいち早く受けたがための高齢都市化…etc。
というような問題といえば問題、そうでないと思えば問題でもない事象が潜んでいる。

TOKYOWISEはTokyoを標榜するからには、この中央線快速に真っ向から取り組まなければ、真の東京は語れないとの想いから、編集部の総力を挙げて各駅・エリアの取材を敢行することにした。とはいえ、残念ながら、全駅制覇に今回は至らず、数駅の皆様には陳謝の極み。また中央線でありながら快速通過駅となった歴史ある駅々もいずれきちんと取材しますから(たぶん)と再陳謝。

単に駅・街紹介を超えた文化的考察も含め、中央線快速物語の決定版の一歩手前の心意気で臨む渾身の特集をお楽しみください。



本特集の読み方


①基本的に取材チームが現地に足を運び在住者に取材をしていますが、あくまで取材者の視点、語り手の視点で書かれているので、ここの駅の全てを消化しているわけではありません。
②とは言え、個人的見解はとても重要だと思っているので基本的にはそのまま掲載しています。
③東京○○的なお店ガイドやタウンガイドではなく、あくまで中央線快速及び停車駅周辺を愛でる企画です。出世する女性とかは出てきません。
④気になった駅及び街にはご自身で出かけてお確かめください。その際に、記事内容と違う感想をお持ちになったら、遠慮なく編集部へご一報ください。(info@tokyowise.co.jpまで、ぜひ。)なんらかの機会にそのご意見も掲載したいと考えております。
⑤私(編集長)自身が中央線出身であることを書き添えておきます。

(Text:Y.Nag)
(Illustration:yuya hashizume)

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