2014.12.09
ファッションにおけるコンサバティブの概念を変え、働く30代女性から絶大な支持を集める人気スタイリスト辻 直子さん。自身の揺るぎないファッション哲学をまとめた著書も発売中。ご本人のリアルなコーディネイトやライフスタイルにもファンが多い。高感度な大人の女性をぐっと惹きつける、そんな辻さんに聞いた本当に好きなコト。ジャンルを問わず、好きなコトへの真っすぐな気持ちをTOKYOWISEに語ってくれた。“好き”を語るときのその横顔はますます魅力的だ。
1、TORIBA COFFEEの計り売りの珈琲豆
私は珈琲が大好きです。自宅では豆から挽いて飲んでいます。マニアックに産地や焙煎にこだわるというよりも、こういう味、こういう飲み方が美味しいって自分の好みを探すのが好き。大好きだからこそ、美味しく飲むために少し手をかけたくなります。好みとしてはちょっと複雑で印象的な珈琲が好きです。最近見つけたTORIBA COFFEEのハワイコナ100%の豆は久しぶりにハッとした味。銀座という場所で、豆だけを売るというお店のスタイルもいいなってぐっときます。
TORIBA COFFEE 〜Boutique Coffee Roaster〜
http://www.toriba-coffee.com
2、humのシルバージュエリー
職人が千駄ヶ谷にあるショールームと一体化した工房で作る、そのスタンスや人の肌と温度が感じられるところが大好きです。コレクションは繊細でヴィンテージっぽいテイストが多い中、がらりと表情が変わるシルバージュエリーの大胆さの虜に。そのふたつの世界観のギャップにも惹かれて。オリジナリティのあるシルバーチェーンは、身につける人によって見え方が変わります。印象的なものだから、正直その人にフィットするかしないかがはっきりしているジュエリー。中にはインパクトを感じるものをチョイスする目があってもいいと思うんです。私にとってhumは自分が取り入れられるかもと感じられた個性だったので、その出会いが着こなしに広がりをもたせてくれたと思います。
3、ホテルオークラ東京のバー ハイランダー
ホテルオークラの雰囲気が好きでよく行きます。ロゴの書体や外観、ロビーの建築意匠など、開業した当時の時代背景を感じるから好き。今と昔では同じ東京でも考え方が違ったんだなと。西洋の新しい文化が入り、日本のおもてなしの感覚とミックスされ、モダンさや合理性が現れているところが魅力的。
お酒はたしなむ程度ですが、ちょっとおしゃれして、ホテルのバーに飲みに出かけるということは私にとってイベント。お酒を楽しんでいるお客さんを眺めたりして、その雰囲気を私も楽しみます。いつもいる場所と違う人たちと触れ合えるのも魅力のひとつ。旅先でもそうですが、ホテルに素敵な人がいると盛り上がりますよね。自分が出かけるときも盛り下げない服装で行くのがマナーだと思っています。
バーハイランダー(スコティッシュバー)
ホテルオークラ東京 別館1階
TEL 03-3505-6077
http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/restaurant/bar_highlander/
4、コンビニのアイス
甘いものに目がないんです。久々にアイスにはまってしまいました!日本ではコンビニのアイスクリームって身近すぎて当たり前のようだけど、種類も豊富で、ちょっとした味違いもたくさんあって、しかも美味しい。それがこんなに手軽に買えるなんて、すごいと思いませんか?コンビニってそのときどきのブームも生まれるし、イカしたカルチャーだって思うんです。最近はまったのはココナッツサブレサンドアイス。もう何箱買ったかわからないくらい。アイスクリームのショーケースを見に、コンビニにはよく行きます。コンビニという場所もすごく東京的だなって思います。
5、HYKEのミドルゲージニット
今、東京ならではのブランドとして名前を挙げるならば、HYKE。ミニマムにそぎ落としているけれど、あるべきモダンさがある。そんな世界観が東京的で都会的な服だなと思います。東京って、雑然としていて、たくさんのものが集まり、溢れている。そのたくさんの選択肢の中からチョイスすることがひとつの個性となり、スタイルになると思うんです。HYKEというブランドは手に取ったその人それぞれに寄り添うブランド。とくにHYKEのニットは、ある意味着る人によって見え方が変わるのが面白いんです。テイストも年齢も限定されないところが好き。例えばプレーンなミドルゲージのニットはカジュアルにもモードにも私のテイストにも寄り添ってくれる。こうじゃなきゃというルールがないんです。そこも私にとってのHYKEっぽさであり、東京を連想させます。
6、HOMAT HOMESのマンション
欧米のスタイルに日本の建築を融合させたセンス、ミニマムな中の重厚感とクラシック感。ホーマット・ホームはいつ見ても色あせない素敵なマンションです。下町とはまたちょっと異なる感覚で、趣がある重厚な建物に惹かれます。初めて知り合いが住むホーマット・ホームのマンションに入ったときから、その佇まいに憧れました。自宅の家具はマホガニーで揃えているのですが、そういうところにも通じるのかな。
7、青山のベリー売りおじさん
「青山のベリーおじさん」と呼ばれ、親しまれているベリー専門の野菜売りのおじさん。青山界隈でおじさんがトラックで販売しているのが面白く、出会えたら必ずフレッシュなベリーを購入します。新鮮なベリーがパックにたっぷり入って500円で売っているんです。みなさんもおじさんに遭遇したら是非。
8、人形町という街
「下町」という所が好きです。人の体温を感じられるものが好きで、新しいものの中にいるよりも雰囲気や趣があるところに身を置いている方が落ち着いてしまいます。東京には下町がいくつもあるけれど、とくに人形町は商店が今も連なっていて、それぞれの店が何十年も続いている。そこには私のお気に入りの和菓子屋や洋食屋、喫茶店がたくさんあります。通りを歩いたり、店にちょこっと立ち寄るのが本当に楽しい。
9、パンプスというスタイル
私にとってパンプスは特別なものでもあり、当たり前なもの。どこでなにをするか、今日はどんな気分か、そんなTPOに添ってその日の一足を選びます。私の場合、どんな着こなしをしていても、パンプスが自分をニュートラルにしてくれるんです。みなさんとは違うかもしれませんが、私にとってのニュートラルって、フラットとかゼロとかいう意味ではなく、どんなテイストでもないこと。エッジの効いたもの、カジュアルなもの、フェミニンなものを着ても、パンプスを添えると心地いい自分のスタイルになります。
いろんなテイストの服を着てきましたが、好きなもののベースは変わらない。似合うものをよりわかってきて、似合わないものを着ているときの居心地の悪さやズレってありますよね。パンプスはずっと履いているから、一番気持ちよく、自然に私の基本形を作ってくれるんです。自宅のシュークロゼットみると、なんでこんなにパンプスがあるんだろうってふと思うときもありますが…。昔友人に手を引かれながら山をヒールで登ったこともありますよ。(笑)「パンプス」とはライフスタイルという、ライトな意味での生きるという上で欠かせないものだなって思っています。
10、飛行機から見る東京の夜景
あらためて思うのが、やっぱり夜景っていいものですよね。とくに飛行機から見る夜景にはワクワクしてしまう。羽田空港から離発着するとき、毎回、身近にこんなにきれいな夜景があったんだと気づかされるんです。俯瞰で見渡すと、この建物ってこんなに大きいんだとか、夜になるとこう見えるんだとか、行き慣れたところも俯瞰から見ると新しい発見があって面白い。羽田空港の夜景はパイロットが選ぶ絶景にも選ばれているとか。東京って電球の数が多かったり、整然とした町並みだからこそ、とくに人の目にきれいに写るのかもしれませんね。
辻 直子
『BAILA』『Marisol』や『VERY』など、多くの女性ファッション誌で活躍するスタイリスト。女優、タレントのスタイリングやファッションブランドのディレクションまで幅広く手掛け、独自の視点からのフェミニンでモダンなスタイリングは篤い信頼を得ている。
辻直子 オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/naoko-tsuji/
『6割コンサバ』の作り方
2014年10月11日発売
辻 直子(著)
集英社 刊
辻直子のプライベートワードローブが期間限定でPASS THE BATON LITTLE PAVILIONに登場!
『スタイリスト辻直子 6 割コンサバなクローゼットのすすめ』
11月27 日(木)~ 12 月25日(木)
PASS THE BATON OMOTESANDO
辻直子 コラボコレクション
Ponte Vecchio×NAOKO TSUJI
IENA×NAOKO TSUJI