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2014.12.14

vol.3 The Movement-TOKYO 2014-2015
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結論から言っちゃうと、長いこと、ファッション関係の仕事周りをウロウロしていて、今ほど男子のファッションに変化に乏しい時代は無いと思うわけで。ちょっとその辺を考えてみたいと思う。

ベーシックの呪縛
思えば、ここ10年ほどファッション誌に限らず、様々なブランドがシンプルだのベーシックを謳い、要するに定番こそ今買うべきと毎シーズン提案してきたような。そうすると、家中に定番があふれると、なんにも変わらない服たちがラインアップされることになる。その多くは、トラッドベースであり、今年はピーコートね、ダッフルがマストと言われても、もう持ってるもんね!になる。
そう、トラッドベースになるとそう大きな変化や進化は無くなるわけで、ネイビーのジャケットは持ってるから、グレーを買おうかなという極めて消極的選択が購買意欲の下支えになる。これじゃあファッションは変わらない。
冒険しないファッション。繰り返される定番。その元凶は何か?を考えてみないと、単に景気が悪いから服が売れないということじゃないんじゃないか。脱ベーシックを先導するブランド=デザイナーはどこにいるんだろう(メンズの世界で)。

TPOの崩壊
今さらTPOもないかとは思うけれど、レストランに食事に行くときはジャケット着用は言わずもがな、じゃなかったっけ。普通ジャケット着ていないと入店拒否なはずなんだが。ジャケットを着るにしても、スーツにノータイという、国会議員をテレビで見ると、まるで失業サラリーマンにしか見えない。スーツ着たらタイをしようよ。しないならもっと着崩そうよと思ってしまう。あるべきところで着るべき服を着る。そんな当たり前が、すべてカジュアルになってしまうと、究極はジャージでプレゼンなんて輩まで出てくる始末だ。もう本当にスマートカジュアルとか、ビジネスカジュアルとかやめて欲しい。
そのくせ、結婚式になると揃いも揃ってダークスーツにシルバーのタイ。無難こそ我が道という無個性化が平然とまかり通る。結婚式はパーティなんだからもちっと着飾ろうよ。とかとか、今日はどんな用事があるから、これを着て行こうと考えること。ファッションと大げさに考えなくても、毎日すべてがカジュアルになっているがために、何も考えずにベーシックだったらいいんじゃないでは何も変わらないはずだよね。

差別化こそファッションだったのでは?
サードウェーブコーヒーが今、いい。そんな記事をあちこちで見かけて出かけてみる。似たようなウッディな内装に、洗いざらしのボタンダウンを着た、ちょっとヒゲとかも軽く生やした細身の男子がドリップを丁寧に淹れてくれる光景が繰り返される。で、いいの?流れている音楽もスロージャズかアコースティック。で、いいの?個性というものがそもそもだったんじゃなかったっけ?
世の中のトレンドがここ東京では消えつつあることが危惧されちゃう。
その同じ感覚が東京コレクションに出かけると蘇ってくる。デザイナーは新しいことを見つけようと腐心しているのが痛いほどわかるのだが、会場で流れる音楽も似たようなグルーブのものだったりする。冒険するよりもバイヤー受けが重視されているのではないか。売れなければブランドとして成り立たないのはわかる。でもせめてショーでは、他の誰もできないことファッションは新しい何かを見せてくれる夢のような存在であってほしい。が、多くはリアルクローズという小さな枠の中で蠢いているかのよう。
一消費者として、無駄買いはしたくはないけれど、せめて1シーズンに一着くらい変な買い物がしたいんですよ。

すでにみたものでなく、すでに繰り返されたことでなく、
新しく発見すること、前に向かっていること、自由で心躍ること。


川久保玲さんのこの言葉が、もう一度、意味を持つようなってほしいなと。

(Text : Y. Nag)
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