2014.10.23
- Cafe Culture
Vol.02
映画「コーヒー&シガレッツ」から始めよう
この映画はジム・ジャームッシュが1986年に発表したオムニバス作品だ。題名から分かるとおり、コーヒーを飲みつつ、タバコをふかしつつ、とりとめもない会話が紡ぎ出される。一見それだけのジャームッシュ節のような作品だが、見終わると無性にコーヒーが飲みたくなる(イギー・ポップとトム・ウエィツの件が最高!)。
ま、今更だが、コーヒーが登場する映画は枚挙に暇がない。「ティファニーで朝食を」のタイトルバックのシーンでオードリーが紙袋から取り出す紙カップのコーヒー(当時はまだコーヒーをテイクアウトで飲むという文化は日本になかった)。「ユー・ガット・メール」でメグ・ライアンが出勤前に立ち寄るスターバックスがやけにかっこよかった。
多分その影響かも知れないけれど、日本にスターバックスが登場するや、出勤前に立ち寄って大きめのトールサイズのラテやコーヒーを片手に出社するというのが、なんとなくかっこいいものとして、先取り好きな業界人の間で密かに流行していた。といっても、今では誰もが普通に緑色の女神を片手に会社のエントランスに向かう姿を目にする。特別なコトではなく、ありふれた日常になっているのだなと。前にも記事にあがっていた、U.S.VOGUEの名物編集長アナ・ウィンターがヴェンティサイズのスターバックスを片手に出勤したりコレクションを巡ったりという姿を真似する業界人を目にすることも多いんですよ。
「コーヒー&シガレッツ」に話を戻すと、とりとめもない、でもそこか楽しい話の側にいるコーヒーというのは、ある意味“潤滑油”のようなもので、そこにあるのが、水だとかしこまっちゃうし、酒だと話があらぬ方向に滑り出したりもするだろうな。シガレッツは肩身が狭くなっているが、コーヒーはとりとめもない話の名傍役としての存在感は揺るぎなく、今も世界のあちらこちらでとりとめもない話に聞き入っているのだろう。