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2016.10.14

vol.13 TOKYO FOOD
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肉ブームの勢いが止まらない。熟成肉の次は赤身肉、そして、海外観光客に人気なのが程よい脂とサシの入った和牛やブランド牛。某媒体の取材で訪れた新宿の肉料理店のほとんどが、「年々、外国人観光客の割合が増加している」と言っていた。そして、日本人よりも和牛愛が凄く、部位や種類に詳しい人も少なくないと言う。今や和牛ブームはグローバル化しているのだ。

そこで今回は、肉卸問屋の商人や飲食店を営む人達の話を交えて『日本人なら知っておきたい肉事情』をお届けしたいと思う。

<和牛と国産牛の違い>


和牛と聞くと、何だか上質なイメージを抱いたり、国産牛と勘違いをしている人もいるのではないだろうか。実は、和牛=国産牛ではないのだ。専門家であり、宮城県で肉卸問屋を営むM氏のお話と独自リサーチの内容を下記にまとめてみた。

和牛
和牛は牛の品種表示で、和牛(※)=国内で飼養された国産黒毛和牛を指す。お父さん牛もお母さん牛も黒毛和牛、“生まれも育ちも日本です”という純血牛。原産国、原産地ともに日本。
※黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4品種の肉のみ表示可能。現在は、褐毛和種、日本短角種、無角和種の牛の飼育や供給が僅かのため、主に黒毛和種を和牛としている

国産牛
日本国内で飼育された牛を指す。交雑牛(お父さんが黒毛和牛、お母さんがホルスタイン牛の掛け合わせ)と、ホルスタイン牛(お父さんもお母さんもホルスタイン牛)の2種類がある。外来種のホルスタイン牛も一定期間日本国内で飼育・加工すれば国産牛となる。

野菜に置き換えると、日本古来(原産・固定種)のミョウガ、フキ、ウドは和牛、トマトは国産牛みたいなもの。つまり、トマトの種は外国から輸入されたものだけど、今となってはスーパーに並ぶトマトのラベルには原産国は記載されておらず、原産地のみが記されているという仕組みに似ている気がする。では、和牛と同じように注目度の高いブランド牛の定義や種類はどうなのか。 「ブランド牛は銘柄牛とも言われ、全国に200種以上あるとされています。その基準の主は、黒毛和牛のA5ランクに認定されているもの。ただし、有名な但馬牛、神戸牛、松坂牛、近江牛、飛騨牛、山形牛など、その地域で生まれ育った牛は等級に関係なくブランド名を名乗れるようになっています」

<牛肉のランク付けの仕組み>


最近は珍しくない、“A5ランク肉”というキーワード。しかし、その基準が何たるやがハッキリしないところもある。気になって調べたところ、日本食肉格付協会(http://www.jmga.or.jp/standard/)へ行き着いた。うーん、何とも細かい。さらに調べを進めると、歩留等級と肉質等級のバランスによってランク表示が変わるということがわかった。

歩留等級
ロース芯の面積、バラの厚さ、皮下脂肪の厚さ及び半丸枝肉の重量の項目の数値を計算しA~Cの3等級で評価

肉質等級
脂肪交雑(※2)、肉の光沢、肉の締まり及びキメ、脂肪の光沢と質の項目を基準に1~5の5等級で評価
※2 霜降の度合いを表す。B.M.S.(劣る=No.1~かなり良い=No.12)が判定基準

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