2016.10.22
ローカルなイメージの薄い東京だが、スーパーマーケット事情においてはご当地スーパーが存在する。中でも東京の主婦のハートをワシ掴みにしている2大勢力がある。今回はこの2大巨頭の魅力を東京主婦たちに調査した。
東京の西側 圧倒的な支持を受ける「オオゼキ」
西側に名乗りを上げたのが「スーパーマーケット オオゼキ」。大田区、世田谷区、品川区などで知名度が高く、週末のレジは長蛇の列となる。昭和32年わずか7.2坪という小さな個人商店「大関」として産声を上げた会社で平成に入り店舗は拡大、現在は都内35店舗を構えるまでに成長している。必要以上に儲けないというのがこの店のモットー。大手スーパーチェーンに負けない安さで奮闘している。品ぞろえも抜群。醤油の種類だけでも80種類あるというから驚きだ。
また「オオゼキ」は各店舗の店長に仕入れが任されているので店ごとに特徴ある品が見られるのもおもしろい。そして、野菜や魚と言った生鮮食品は毎日市場から仕入れて並べているため鮮度も良好。安くて品がいいとなればお客が多いのは当然だ。肉は店ごとに一頭買いして小分けにしている。しかし、こうした商品努力はチェーン展開する大手でもしていること。それ以外の魅力はどこにあるのか。
人気の秘密はほどよい広さ
話しの中で見えてきたのが店舗の広さという視点だ。忙しい東京の主婦にとっては店舗の広さも重要。実は広すぎる店舗は色々な意味で大敵なのだ。お目当てのものにたどり着くまでに時間がかかる上、子どもと手をつないで回るものの、元気な子は親が商品を選んでいる間に脱走なんていうことも。こうなるともう大変。子どもとの店内鬼ごっこ大会が開幕してしまう。
通路が10本もあるような大型店舗では子どもを捕獲し買い物を無事終えるころには親はヘトヘトとなってしまう。かといって、狭すぎては品ぞろえが不足する。ささっと回れば一周5分で回れるオオゼキの店舗の広さはちょうど手頃と言えるだろう。
また、駅の近くの立地が多いわりには駐車場を有する店舗が多いのもこの「オオゼキ」の特徴だ。都内で見れば35店舗中23店舗が自社もしくは提携駐車場を有している。なにかと荷物の多い子育て世代にとって駐車場は大きなポイント。知人の30代世田谷主婦は「両手に荷物で子どもも抱っこ。自転車で運ぶには不安定だし、車で行けるのがいい」と「オオゼキ」の良さを話してくれた。
また、会費無料のキャッシュバックカードも人気。100円の購入につき1ポイントが貯まる仕組みでポイントは1ポイント1円としていつでも使うことができる。毎月ポイント5倍デーもあり「すぐポイントが貯まるからお得感がハンパない! 」と品川区の主婦。5倍デーは駐車場待ちの車が路上まであふれかえる。しかしポイントカード導入で言えば東の巨頭が先駆者だとの声もある。
東の巨頭は「コモディ イイダ」
東のローカルスーパー代表は何と言っても「コモディイイダ」。地元民から「イイダ」と呼び捨てにされるほど愛着を持たれているスーパーだ。歴史は古く創業は大正期。文京区にあった個人経営の青果店がはじまりで、昭和9年に北区東十条に「飯田百貨店」を開業、昭和11年には株式会社化し北区田端町に本店を構えた。現在はスーパーとしての地位を確立している。百貨店時代の名残なのか衣類を扱う店舗もある。
北区の滝野川店の愛用者は「価格はそんなに安いわけではないが、このあたりではこれだけの品ぞろえがなかなかないため、自然とここに足が向く」という。もちろん全国チェーンの「西友」なども利用するが、日用雑貨から服までそろう「イイダ」がやはりいいのだそう。
また、惣菜の種類が豊富との意見もある。最近、テレビの人気番組でコロッケが取り上げられたこともあった。「揚げ物系が豊富な気がする」との証言もある。しかし、惣菜含めて品ぞろえは店舗によって偏りがあるようだ。とはいえ、都内だけでも38店舗を展開、世田谷主婦が気にかけていた駐車場問題についても「オオゼキ」までとはいかないが、19店舗にあるというからまあ合格ではないだろうか。
昔「コモディイイダ」の近くに住んでいたという主婦は「10年前にはすでに現金ポイントカードがあった。これは画期的だなぁ~と当時は思った記憶がある」と発言、もしかすると、東京の現金還元ポイントカードの元祖はここなのかもしれない!?
東京の東西の主婦に話を聞いた今回だが、ジョーキョーマダム的に意外だったのは東の人は「オオゼキ」を知らず、西の人は「コモディイイダ」を知らないということだ。これぞローカルスーパー。地元だけで名が通っている、これこそが「オオゼキ」「コモディイイダ」を東京ご当地スーパー二大巨頭たらしめる所以だろう。