2016.09.28
タワマン居住の独身男女=冷蔵庫に何も入っていない!?
「近くのスーパーが24時間営業なんで、自分ちの冷蔵庫みたいなもんですよ」
都心のタワーマンション(以下タワマン)に住む遊び仲間から、そんなセリフを聞かされたのは5年ほど前だろうか。ホームパーティ(以下ホムパ)の料理担当ということもあり一足早く彼の家に向かい、買い込んだ食材や飲み物を冷蔵庫に入れようとしたら、中に入っていたのは“賞味期限が2年以上前に切れたポン酢”のみ。その状況に思わずフリーズしていると、彼が淡々とそう言ってのけたのだ。
確かに食生活に疎い独身男という立場ではある。でもいくら何でもこれじゃ冷蔵庫が仕事を与えられていないようであんまりだ。それでも彼は「毎日仕事帰りにスーパーの前を通るんだから、その日必要なものだけそこで買えばいい」と説明してくれた。そもそも疲れて自炊する時間もないし、コンビニの方が近ければそっちで問題ないとも。あの時は妙な説得力とクールな都市生活者臭を感じてしまった。ちなみにポン酢は「その昔ホムパで誰かが持って来たもの」だそうだ。
以来、悲しいことに“タワマン居住の独身男女=冷蔵庫に何も入っていない”という固定概念ができあがってしまい、たとえ飲み会で自分好みの女の子がいたとしても、「タワマンに住んでるよ♡」というだけで「この子、自炊しないんだろうな。普段からろくなもんしか食ってないはず……やめとこ」などという、恋の機会の喪失を何度か味わう羽目になった。
ところで東京を代表するタワマン密集エリアと言えば、その元祖的存在である中央区の「佃・月島・晴海・勝どき」のほか、江東区の「豊洲・東雲・有明・白河」、品川区の「大崎・東品川(天王洲やシーサイド)」、港区の「芝浦・海岸・港南・台場」といったエリアが真っ先に思い浮かぶ。いずれも近くに川や運河が望め、“水の都TOKYO”を満喫できるロケーションだ。
前回の『美魔女化するTOKYO タワーマンション居住者は“自由ある囚人”!?』でも告白&分析があったように、都心の“タテ化する風景”を象徴するタワマンは、ここ15年くらい(つまりゼロ年代以降)の間に乱立した。インターネットが社会へ浸透し、共働きが当たり前になった時代。帰る場所を通勤時間がかかる郊外の一軒家から利便性の高い都心へと向かわせた結果、その受け皿としてのタワマン需要が急速に高まった。石原都政と小泉内閣が二人三脚で進めた都市再生や、バブル崩壊で大量の不良債権を抱えていた銀行や大企業の救済策が背景にあったことも忘れてはならない。
一握りの富裕層が投資目的や相続税対策でタワマンを買い漁っている動向や、六本木エリアに建つ○○ヒルズや○○レジデンスといったような経営者向けの超高級社宅は別として、今回は地道にローン購入あるいは賃貸で暮らす一般的な住人に絞って、飲食にまつわるエピソードについてヒアリングしてみた。
美魔女なママ友のエコバッグの中に見てはいけないものが!!
まずはタワマンのマジョリティとでも言うべきファミリーの場合は?
「ママ友同士のホームパーティはよく開催する。作る時もケータリング頼む時も、余ったら手土産のスイーツ含めてみんなで旦那様の夕食としてシェア。買い物自体は、子供がいると昔のように欲しい物のためだけにハシゴなんてことができないから、その時いる場所から最短経路で買い揃える感じ」
(中央区勝どき・航空会社勤務・33歳)
「ご存知のように低層階と高層階の販売価格は違いますから、それ自体が格差のように捉えられて、低層階にいる私としてはママ友たちのプライドとヒエラルキーを日常会話で何かと感じることがあります。でもこの前、高層階にいるママ友のボス的な美魔女が買い物から戻ってきたらしくロビーでご挨拶していたら、オシャレなエコバッグの中に見てはいけないもの=“ハナマサの袋”を発見してしまいました」
(港区芝浦・専業主婦・39歳)
「うちの周りは飲食店がよく潰れます。家計や子供の栄養もありますから、外食はなるべく控える方が多いみたい。食材には拘る方で野菜の定期宅配便はよく利用します。あとは震災以降、高層階ということもありお水のストックは常識になりました。こちらはネットスーパーで宅配注文します。本屋さん同様、そのうちスーパーも買い物に出かける時代は終わるのではないでしょうか?」
(江東区東雲・メーカー勤務・42歳)
ほかに「タワマンに住んでると古いものに対する憧景が強くなって、下町の和菓子屋へ出向くことが増えた」「東京五輪の影響で世界の食がまとめて楽しめるスポットができることを期待」「深夜にスーパーで高級食材を買い込む派手な女は、絶対に誰かの愛人で部屋を充てがわれている」という意見もあった。
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