2016.05.18
今年の春夏のトレンドとして注目されている、タッキーファッション。最初聞いたときは、オタクさんたちのファッションのことかと思ったが、そうではないらしい。タッキー(Tacky)とは「ダサい」「趣味の悪い」という意味をもつ言葉で、ファッションにおいては“悪趣味ギリギリのスタイル”を指す。ギリギリのところを攻めているがゆえに、人によって「OK(GO)」 とされるスタイルと「NG(OUT)」とされるスタイルがあることは否めない。そこで歯に衣着せぬメディアである『TOKYOWISE』では、2016春夏コレクションで見られたタッキーファッションの「GO/OUT」を率直に、そして愛情を込めて判定したいと思う。
■クロエ(Chloe)
【判定結果:OUT】
フランス・パリで発表されたクロエの2016春夏コレクションで先陣を切ったのがこのジャージ。クロエらしいフェニミンなロングスカートと合わせてはいるものの、ジャージがリアルすぎて思わず『中学生か!』とツッコミを入れたくなるようなルック。おそらく上下で20万はするであろうジャージだが、これは残念ながらいただけない。
■J.W.アンダーソン(J.W.Anderson)
【判定結果:OUT】
個人的には大好きなブランドなのだが、どうしちゃったんだろう状態の2016 春夏ロンドン・コレクション。ビックショルダーをゆうに超えたオーバーサイズのショルダーは、デイリーはもちろんパーティーですら着用不可能な勢い。キース・ヘリング風の幾何学プリントも、アートへのオマージュなのかもしれないが理解不能。
■グッチ(GUCCI)
【判定結果:GO】
先シーズンに引き続き、グッチのコレクションはどれも秀逸。トム・フォードのグッチも良かったけれど、アレッサンドロ・ミケーレが描く独特の世界観には一瞬で心を奪われてしまう。派手派手でもトーンが揃っており、日本人が着られそうな丈感やカラーも親しみやすいポイント。さりげなく入っているグッチのラインも◎。
■ランバン(LANVIN)
【判定結果:GO】
日本ではあまりフィーチャーされないブランドだが、パリ・コレクションで発表された2016春夏コレクションは非常にクール。スパンコール×スパンコールでも下品でないし、トーンも見事に揃っている。大胆な大柄も日本人に馴染みのあるプリント。ゴールドのジャケットは一見やばそうだが、今っぽいアイテムではある。
■モスキーノ(MOSCHINO)
【判定結果:OUT】
2016春夏のベスト・オブ・タッキーといえるモスキーノのコレクション。モスキーノらしいといえばそうなのだが、服もアクセサリーもパンチが効きすぎていて、これを上手に着こなせる日本人がいたらぜひ見てみたい。メッセージ性が強すぎるのも悪趣味の典型で、もはやこのブランド自体が“CAUTION(ご注意!)”なのでは?
■マーク・ジェイコブス(MARC JACOBS)
【判定結果:GO】
ニューヨーク・コレクションでマーク・ジェイコブスが披露したのは、1970年代のポップアートを思わせるノスタルジックなコレクション。ギリギリのところを攻めているが、着ている人を何となくイメージできるあたりがまさにタッキーファッション。シースルーやフリンジが入っており、シャイニーだが決して下品ではないルックだ。
さて、ここまで散々言いたい放題言わせていただいたので、自身も身を削って流行のタッキーファッションにトライしてみることに。今回スタイリングをお願いした『TOKYOWISE』のタッキー副編集長にコーディネートのポイントを聞いてみた。
❶大柄と小柄の組み合わせで「柄×柄」も難なくクリア!
タッキーの基本は柄×柄。花柄は春の定番だが、大胆な花柄はトレンド感満載。小柄な幾何学プリントを合わせれば上下柄でもバランスがとれ、プラダ風の落ち着きのあるルックが完成!
❷上下ボーダーもトリコロールカラーならモードに変身!
ボーダー×ボーダーも、太めのピッチのものと細めのものを合わせてメリハリをつけるのがポイント。コーディネートのアクセントに花柄のスカーフやカチューシャもお忘れなく。
普段ノームコアファッション一辺倒の筆者は、『マジっすか!』『アリっすか?』しか発することができなかった今回のタッキーファッション取材。しかしながら、一度着てみるとこのド派手さがちょっとクセになるというか、久しぶりに“ファッションって楽しい!”を実感した一日となった。この春、本当にタッキーが流行れば、街の中のファッションは非常に楽しくなりそうだ。