2016.04.28
芸術は日々の生活のほこりを魂から洗い流してくれる
〜パブロ・ピカソ
そう、アートに触れれば心がリフレッシュする。日常の面倒なあれこれもパーッと忘れて都会にいながら小さな現実逃避できるし、旬のアートを知っておくのはクリエイティブな人にとって欠かせないアクティビティでもある。数多くの展覧会が行なわれているが、なんといっても小難しくなくて面白いものが一番。できればオシャレで話題のものをおさえておきたい。そこで、ゴールデンウィーク期間中に東京近郊で行なわれるアート展や展覧会の中から、アート初心者でも楽しめそうな5つを選んでみた。
1. ライアン・マッギンレー BODY LOUD!
「アメリカで最も重要な写真家」と高く評価されている写真家ライアン・マッギンレーが遂に来日!国内美術館初となる待望の個展が開催するとのことで、写真好きたちが興奮気味だ。ロックバンド「シガー・ロス」のアルバムジャケットにも作品が使われ、美術雑誌やファッション誌では常に特集記事が組まれ、世界はもちろん日本にもファンが多いライアン・マッギンレー。彼の写真は、ほとんどの登場人物がヌードなことで知られている。全裸で広々とした草原のなかを疾走し、全裸で雪原の上に仰向けになり、全裸で犬とともに芝生に横たわり……人生を謳歌するような自由でのびのびとした情景がユーモラスだ。全裸モデルが壮大な自然にとけ込み、美しい色彩で表現される世界は、まるで桃源郷のよう。2003年、若干25才にして初の個展をかのNYホイットニー美術館で開催、翌年にはMoMAで新作展示するなど写真界の若きスーパースターのマッギンレー。今イチバンの写真を目の当たりにするチャンス、逃すことなかれ。
ライアン・マッギンレー BODY LOUD!
会期: 2016月4月16日(土)〜7月10日(日)
場所: 東京オペラシティ アートギャラリー [初台]
オフィシャルサイト: http://www.operacity.jp/ag/exh187/
2. ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞
近頃なにかと浮世絵が人気だが、またもや気になるイベントが。幕末に絶大な人気を博した二人の天才浮世絵師、歌川国芳と歌川国貞の作品をポップなアプローチで見せる「俺たちの国芳 わたしの国貞」展が絶賛開催中で、週末はかなりの混雑ぶりだ。世界に冠たる浮世絵コレクションで知られるボストン美術館に所蔵されている1万4千枚を超える作品から厳選し、今回は約350枚がお目見え。江戸時代から髑髏(スカル)が好きな俺=国芳、江戸時代から手紙(メール)が好きな私=国貞、と銘打ってワイルドな反骨の絵師・国芳と大衆文化を牽引するファッションリーダー・国貞の作品をオシャレに分かりやすく展示している。大胆な構図とポップな色彩、繊細なぼかしタッチは現代に見てもキャッチーで可愛いものがたくさん。さらに、楽しみなのがミュージアムショップ。国芳・国貞モチーフのコラボグッズがわんさか!皿、うちわ、ベアブリック、ネックレス、ハンカチ、バッジ、スケボー、ガチャガチャまで。1876年のボストン美術館開館以来初の大規模な国芳・国貞展となる。これらの作品は一度貸し出されると5年間は公開されなくなるので、貴重な機会だ。江戸の究極のポップカルチャー、浮世絵をカジュアルに楽しもう。
ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞
会期: 2016年3月19日(土)〜6月5日(日) ※会期中無休
会場: Bunkamuraザ・ミュージアム [渋谷]
オフィシャルサイト: http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/16_kuniyoshi.html
3. コレクション・オンゴーイング
「いい展覧会はいつもここでやっている」という圧倒的な安定感を誇る東京都現代美術館。アートファンなら必ず一度は訪れたことがあるここでは、インスタレーションや建築展、特撮展に映像展やファッションなど現代アートという視点でさまざまなジャンルの面白い展覧会が行なわれている。いわば、都内随一を誇る現代アートの拠点。そんな現代美術館が、大規模修繕工事のため5月29日までの展覧会終了後をもって長期の休館を予定している。こんどはいつオープンするのか分からないということで、休館前に駆け込んでみることをおすすめしたい。ちょうどゴールデンウィークに開催されているのは「コレクション・オンゴーイング」。ポップアートと紙作品に焦点をあて、新収蔵品とともに展示している。現代美術の源泉であるポップアートは、開館当初からコレクションの核をなしてきた。休館を前に、アンディ・ウォーホル財団から寄贈された貴重な新収蔵品とともに、ウォーホル、リキテンスタイン、ウェッセルマン、ホックニーといった60年代ポップの作品をまとめて見られる。同時期に、ピクサー展も行なわれているのでピクサー映画ファンの子ども達も満足できそうだ。
コレクション・オンゴーイング
会期: 2016年3月5日(土)〜5月29日(日)
会場: 東京都現代美術館 [清澄白河]
オフィシャルサイト: http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/mot-collection-ongoing.html
4. 雑貨展
「デザインあ展」で一躍話題となった”21_21DESIGN SIGHT”は六本木ミッドタウンの庭の中にあるギャラリー。都会の中のオアシスといった感じの趣で、ショッピングや食事の後にふらっと寄りたい場所だ。ここで開催される「雑貨展」が雑貨&デザイン好きにはたまらないイベントになっている。可愛い小物や雑貨やバッグや日常品の歯ブラシやティッシュや籠や椅子……モノで溢れかえった会場に足を踏み入れたら、興奮で倒れてしまいそうだ!テーマ発案者、展覧会ディレクターは深澤直人さん。日本人、特に女性は雑貨と聞けばそわそわするほど雑貨が大好き。そもそも雑貨ってなに?雑貨の魅力はなんなの?ということを掘り下げた展覧会なのだ。これも雑貨なのね、という発見もあり、買い物欲もむくむくと湧いてくる展覧会だ。ちなみに、1階の雑貨店では参加作家、出展者にまつわる雑貨が販売されているので、展覧会で見たものが一部買えるという嬉しいオチつき。ああ、楽しい。
雑貨展
会期: 2016年2月26日(金)〜6月5日(日)
会場: 21_21DESIGN SIGHT [六本木]
オフィシャルサイト: http://www.2121designsight.jp/program/zakka/
5. GAME ON 〜ゲームってなんでおもしろい?
最後に、ワクワクな展覧会を。“コンピュータやインターネットなどの情報技術とともに進化を続け、世界のエンターテイメントを変えたコンピュータゲームの進化を一望する”という趣旨を持つこの展覧会は、2002年にイギリス・ロンドンのバービカン・センターでの開催を皮切りに世界を巡回し、累計200万人以上の来場者を集めたイベント。日本では「ゲームってなんでおもしろい?」をテーマに懐かしのゲーム機から最新ゲームまでずらり。そのほとんどを体験できるとあってゲームファンのみならず、子ども、デザイン&カルチャー好きなら大興奮だ。1970年代に登場し大ブームを巻き起こした「スペースインベーダー」をはじめ貴重なゲームセンターのゲーム機、家庭用ゲーム機、キャラもの、スマホゲームに至るまで。ゲームの歴史を彩る名作120タイトル以上が並ぶと、デザインを見るだけでも興味深い。
GAME ON 〜ゲームってなんでおもしろい?
会場:日本科学未来館 [青梅]
会期: 2016年3月2日(水)~5月30日(月)
オフィシャルサイト: http://www.miraikan.jst.go.jp/spexhibition/gameon/
そのほか、都内にはのんびりできるアートスペースがたくさん。原美術館のカフェもいいし、リニューアルした庭園美術館は歩いているだけで優雅な気分になるし。今年は3年に一度の瀬戸内アートフェスも開催されるので遠出するのもいい。アートにカルチャーに貪欲にのめり込んで、日常のほこりをとことん落とすとしますか。