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2015.07.30

vol.6 TOKYO LOVE
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今回の「東京LOVE」の企画で、もう一歩踏み込んだ東京恋愛事情のバックストーリーを描きたいと考えて、旧知のAVライターである“アケミン”さんに登場していただくことにした。彼女は、ひょんなきっかけからAV製作会社に就職し、フリーになった今もAVのフィールドでライターとしてやイベンターとして活躍している。そんな彼女から見た東京LOVEの奥底に流れる潮流のようなものはいったいどんなだろう?

AV業界は今


──AV業界の様変わりというのはありますか?

アケミン:様変わりというか、今、ちょっとした危機的状況ですね。違法も含めてネットの配信が主流となって、DVDが売れないし、そもそもセックス自体に興味がない男子が増えているような流れもあって、苦しいんじゃないでしょうか。

──とは言え、AV女優という呼び名がセクシーアイドルに変わったり、地上波に進出したり、紗倉まなさんでしたっけ、TOYOTAのネット広告に出演なさったりとアンダーグラウンドのイメージじゃ無くなっていますよね。

アケミン:そうなんです。実際にイベントとかにいらっしゃるファンの方は、脱いだりビデオでセックスしたりする女優に会いにくるのではなくて、純粋に服を着ている”アイドル”として見てらっしゃるんです。だから初体験の質問をしたらファンからそんなこと聞きたくなかったとクレームが来るほどなんです。
イベントの入場条件がDVDの購入だったりするんですが、買うだけで見ないとか!

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──え?見ない??

アケミン:そうです。AKBのファンの心理となんら変わらない。

──そうかぁ。それだけセクシー系の方々のレベルが上がっているということなんですか?

アケミン:みんなめちゃめちゃ可愛いですよ。かつての不幸系のイメージはなく、自分から応募してきてAVに出てくる人が多い時代ですから。なまじのルックスじゃ単体(1本に一人で主演)には出られません。当然ギャラも違ってくるし。でも昔と違って、今の女優さんたちは質素な暮らしをしていて貯金とかもしっかりしている。かつてはホストに入れあげてこの業界にくるとか、借金が原因でとか、暗い過去を持つ女性たちがというイメージでしたけれど、今は違いますね。親公認の女優さんも増えているくらいですから。

──時代の流れというだけではなくて、セックス自体が日常化しすぎているんでしょうか?

性の意識改革?


アケミン:あくまで私の感想ですけれど、セックスも突き詰めて考えれば単なる粘膜行為だし、女優にとっては仕事でしかないんです。はじめましてと挨拶して5秒後には始めているんですから。でもこれは女性側だけの感覚かもしれません。といのも、先日、とあるベテラン男優さんが「僕はたとえ撮影といってもその間じゅう女優さんに恋しているんです」と言っていました。また同じく人気男優の森林原人さんが「撮影時にあれだけ盛り上がったのに、ケロッと早々にシャワー浴びられると、今でも寂しい気分になります」というような発言をなさっていて、やっぱり男性はセックスにロマンを求めているのかも、と。その点女性は…。

──悲しい現実ですね(笑)

アケミン:今の10代、20代前半の子って昔と違って10代からAVを見て、今日初体験だからって焦ってないんですよ。今日泊まりに行くねとかメールやラインで連絡取り合って、全てわかった上でスタートとか。今の子って初体験の前にAVを見てしまっているから自分たちの世代とはセックスへのスタンスが違うよね、と以前、取材の際に監督のカンパニー松尾さんとも話していました。セックスに無駄な憧れがなくなっていると。最初から特別感が薄れているんでしょうね。

──手軽になっているのかなぁ?それで意外とバーチャルで済ませてしまうとか。

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セックスのアウトソーシング!?


アケミン:恋愛においてのセックスの重要度が下がっているのは事実でしょうけれど、セックス自体の需要がなくなっているわけではないかもしれません。

──それはどういうことですか?

アケミン:これも私見ですけれど、セックスのアウトソーシングが一般化しているような。

──アウトソーシング!?

アケミン:日本が世界でも稀に見るAV大国という事実もそうですが、恋愛とセックスをセットで考えるのではなく、分離して考えるというか。例えば、セックスレス夫婦を考えても、諦めるか、もう一度頑張るかしかなかった時代からアウトソーシングという選択肢が生まれて、だから「昼顔」というドラマが人気を博したりするわけですよね。

──政教分離ではなく、性愛分離ですね(笑)

アケミン:夫婦の愛の形自体も変わってきていいのだとは思いますが、なんでもアリとは違わなければいけないなと。どんな場合でも恥じらいは忘れてはいけないのだと思います。オープンとあからさまとは違うし、恥ずかしいという気持ちとか恥じらいは人としての美学だと思うんですよ。それはAVでも同じことが言えて、モザイクという日本独自の文化もその一つだと私は思っていて、単にモロではなく、そこに想像力を働かせたりシチュエーションに興奮したりという仕掛けでもあるのだはと思っています。
(仕掛けでもあるのでは )

まとめてみた


色々な意味で、AVや性風俗が実生活に与えている影響は少なからずあることは理解できる。しかし、アケミンさんが強調するように、そこには恥じらいという美学を忘れてはいけないのだということ。セックスレスが離婚の原因の大きなウエイトを占めたり、20代の男女が恋人はいらないと40%が答えている。だからといってセックスを否定しているわけではなく、ここでもセックスのアウトソーシングというか性愛分離が行われているのだろうというのは想像に難くない。そんな時代の東京LOVEの行方はどうなるのだろうか?ちょっと心配になりつつ、“恥じらい”の意味を再認識する編集部一同であった。

(Text: Y. Nag)
(Photo: Yuuko Konagai)

アケミン

アケミン
03年〜09年までAVメーカーDEEP’S とアイデアポケットで広報として勤務後フリーライターに。毎週火曜スポニチ「アケミンのAVクロニクル」を始め、雑誌やwebなどで執筆中。
Twitter: @AkeMin_desu
Blog: http://blog.livedoor.jp/akemin_1024/

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