2015.07.31
色んな文化と人が交差する東京。趣味、遊び場、独自のカルチャーの数の多さにも目を見張るところがある。最近では、“男の娘” “女装さん”という新しいネーミング(ジャンル)の女装を楽しむ男性が増えていて、逆に、“男装女子”という男装を楽しむ女性もいる。これは、ある種コスプレの進化系とも言えるのではないだろうか。今回は、“女装さん”だけに留まらず、一般のお客さんからも人気で大盛況の新宿二丁目にある『女の子クラブ』のくりこママに女装を楽しむ人たちについて話を聞いてみた。24時間利用可能な“女装さん”と“男の娘”のための女装ロッカールーム『じょそっこ更衣室』の話題、お客さんとキャストのリアルな話も合わせてお届けします。
●『女の子クラブ』って何だろう?
『女の子クラブ』は、女の子の服に着替えられる新感覚のコンセプトバー。コスプレ衣装、メイク道具、ウィッグなどの用意もあるので手ぶらでも女装が楽しめる。現代の女装ニーズに合わせた、快適に女装欲求を満たす空間なのだ。
●くりこママと“女装さん”たちへインタビュー
──女装するきっかけは何でしたか?
くりこママ:ノリです(笑)、深く考えていなくて。私は元々ここのお店の店長じゃなかったんですよ。近くのゲイバーで飲んでいて、お店の人に「新しいお店がオープンしたから行ってきなよ」って言われて。それで初めて女装させてもらって。そこからオーナーに引き抜かれて、店長(ママ)になりました。
──ゲイバーにいたとのことですが、恋愛対象は男性ですか?
くりこママ:男の人と“女装さん”が好きです。性格的なものとかフィーリングとかで合う合わないがあるけど、“女装さん”は気が合いやすいです。正直、女性に対してトラウマ的なものがあるので、そこからこういう感じになってしまって。“女装さん”は可愛らしいし、安心できるし、一緒にいても楽しいですね。私、男子校だったんですけど、持田香織さんに似ているものすごく可愛い子がいたんですね。そこからズレはじめて……。お互いに「可愛いねー」言っているうちに、色々あって……。初恋は女の子なんですけど、初めて付き合ったのがこの男の子でした。その後、女の子とも付き合ったけど、全然だめで。昔、女の子に二股相手として付き合わされていたので、そこでやっぱり女性は信じられないなって。
──女装をしたときの最初の感想は?
くりこママ:「なんかいけるんじゃね?」って(笑)。直感的に“オネエ”になるんじゃないかって思っていたんですけど、意外にその辺にいる“女の子”になれた気がして、新しい感じがしました。
──”オネエ”になるか“女の子”になるかの違いを教えてください
くりこママ:“オネエ”は、わざとらしいじゃないですか。こちらはいかにその辺にいるような女の子になれるかっていう違いでしょうか。お客さんにメイクするときも、濃いけどナチュラルに見える、「居るわ、こういう子!」っていうのを目指してやっています。
──初めてのメイクは、誰かに教えてもらったのですか?
くりこママ:初めは専属のメイクさんが居たんです。今はスタッフ全員がメイクできるので居ないんですけど。女友達にメイクの仕方を教えてもらったり、そこからアレンジしていきました。基本は女性のメイクがベースです。色んな“女装さん”がいらっしゃるので、メイクの方法を聞いたり、あとは回数。やればやるほどに、だんだん腕も上がっていきますね。
──お肌がきれい~! お手入れにこだわりはありますか?
くりこママ:いやいやいや、必死です。やっぱりメイクをするので、肌をケアするようになりましたね。化粧水とか乳液とか全然使ったこともなかったし。最初は粉を吹いちゃったりして大変だったんですけど。
──毎日メイクはしますか?
くりこママ:私はしますね。今は2週間連続くらいで。辛いっす! 前は週2日とか肌休めの日があったんですけど、今は忙しくて。
──お気に入りの化粧品は?
くりこママ:信用している化粧品はありますね。女装に合う化粧品があったりするので。男性だと皮脂が出やすいので、油分の少ないものでカバー力のあるものが良いと思います。どの化粧品が良いのかっていうのを調べたり、店員さんからも話を聞いたりとかしますよ。最初は、恥ずかしさもあったり、申し訳なさそうにお店に行ってました。でも、「実は……」ってカミングアウトして、相談に乗ってもらうようになりました。今は女装が流行りはじめていて、前よりは買いやすくなりましたね。2年半前は買いにくかったかな。
──女装ファッションのこだわりはありますか?
くりこママ:自分が理想としていた女の子の格好をする。皆さんもやっぱりあると思いますよ、自分の理想の女性像を作りたいっていう気持ちは。だから、清楚系の服を着ている人は、多分、元は清楚系の女の子が好きなんだろうなっていう。ギャル系の服を着る人はそういうのが好きだし。理想の女性像を具現化するっていうこと、皆さんこだわりを持っていると思いますね。
──お店にはどんなお客さんが来ますか?
くりこママ:“女装さん”がメイン。元々、女装の格好で来る人が半分くらい。1.5割が女装グッズを持ってきて、ここで着替える人で、1.5割が「初めて女装したいんですけど」っていう人。残りが女装したい男性の人と女性ですね。年齢層は幅広くて、20~70歳代くらいまでいらっしゃいます。
──“女装さん”以外のお客さんにはどんな人がいますか?
くりこママ:この前だと、某大学の寮に住んでいる学生さんが10人で来て、「みんなで遊べるのが最後だから思い出を作ろう!」って(笑)。
「先輩きれいっす!」
「お前もきれいだぞ!」
「どうだ俺は?」
「先輩いいっす! 惚れそうっす!」
「そうか~! よし、皆で外へいこう!」
って言いながら、楽しそうに外出していきました。うちのお店では、外出も自由なので。
あとは、ちょっと自分がどうしたらいいか分からないという人や、ちょっと興味があるけど今まで環境的にできなかったからって迷っている人とか……、それで最終的には玉取っちゃった人もいますし。あとは、変身願望があったり、非日常を味わいたいっていう人も多いですね。
この前だと、社員旅行のひとつのコースとしてうちのお店を入れてもらって、思い出作りにみんなで女装をして写真を撮って、ギクシャクした仲が女装を通じて良くなったりとか。うちはカップルや合コンで使われることもあって、キャストやスタッフがメイクするんじゃなくて、グループ内同士でメイクしたり。女性が男性に化粧をしてあげると、距離が近づくから仲良くなって、カップルが成立することもありますね。女性の人に誰が気になるかって話を聞いて、相手の男の子を呼んで、メイクしなよって斡旋したりとか。お互い顔も近いし、2人だけで着替えたりするから、そこでラブが芽生えたりなんてことも。
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