2015.09.30
夜な夜な、男女が“恋愛”を目的に集う居酒屋がある。彼らはここに、恋人や生涯のパートナーを探しにやってくるのだ。国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集(2014年)」によると、2010年の生涯未婚率は男性が20.14%、女性が10.61%だそうだ。もちろんこの数値の中には、結婚に興味がないという人もいるだろうが、結婚したいのにできないという人も多くいる。その手助けをしてくれるのが、ここで紹介する「婚活居酒屋」や「相席居酒屋」だ。
どうやらこの手のお店、女性へのサービスが手厚いらしく、なんと無料で飲食できるお店もあるらしいのだ。無料または比較的安価でお酒とご飯が楽しめて、あわよくば素敵な男性とも出会える。せっかく女性に生まれたからには利用しない手はない! ということで、さっそく友人Aちゃん(28歳・5年間彼氏なし)と筆者(26歳・国際恋愛中)で婚活居酒屋に向かった。
占い師の助言を聞きながら真剣婚活?
その1「四万十」
最初に伺ったのが、婚活居酒屋としてメディア露出も多い「四万十(しまんと)」。青物横丁というあまり聞き慣れない駅が最寄りだ。
一見、外観からはここが婚活居酒屋とは想像ができない。いわゆるどこにでもありそうな普通の居酒屋だ。私とAちゃんが店に入るのを躊躇していると、上から「イラッシャ〜イ! ドゾ〜!」と威勢のいい声が聞こえてきた。意を決して2階へと上がると、ネパール人のアラジさんが優しい笑顔で迎えてくれた。
テーブルはざっと数えて10くらい。壁側に沿うように長くテーブルが置かれていて、女性は壁側に座り、男性が独立した椅子に座る。時間がくると男性が椅子から椅子へと移動する仕組みになっている。
席に着くなり、揚げ物やサラダなどが次々に運ばれてくる。お酒は飲み放題だが、自分でつくるスタイルだ。一旦運び終わると、ひとり3000円を支払う。
入店は19時半過ぎだったが、20時をまわるころには満席になっていた。女性客の方が多く、ほとんどが30代といったところだった。男性は30代、40代が主。
最初についた男性は、サラリーマンとやんちゃ系のお兄さんの2人組だった。なんでもサラリーマンの彼はリピーターだそうで、店のシステムをよく熟知していた。婚活している理由は、「職場に出会いがないから」だそう。ちなみに恋人いない暦は2年半。どんな人がタイプか尋ねてみると、「北川景子」だそう。そんなこと言ってるから恋人ができないんだよ! とつぶやいた(心の中で)。
次についた男性は、いかにも女性が苦手そうな優男。35歳で福祉系の仕事をしているのだそう。彼もリピーターで、ここにはひとりで来るらしい。ちなみに、以前ここのお店で出会った女性と電話番号を交換し、後日デートまでしたのだが恋は実らなかったそうだ。「恋愛ってムズカシイですよね……」と困った顔をして去っていった。
男性との交流は2時間で以上だ。
ただ、このお店の一番の売りは、敏腕占い師が在籍していることだろう。まず席に着くと、小さな紙とペンが渡され、そこに名前と生年月日を書き込む。するとカウンターに座った占いの先生が順番に運勢を見てくれるのだ。これだけを目的に来る女性も多いのだそう。
また、帰り際に隣の席だった女性グループのお姉さんと電車で一緒になり、「全然ダメだったわ〜。それよりさ、今度恵比寿で合コンするんだけどこないっ!?」とお誘いを受け、連絡先を交換した。
占いと、新しいつながりが生まれる点ではメリットを感じられた。男女とも3000円だが、飲み放題で食事付き、さらに占いもしてもらえるので、行ってみる価値はあると思う。ただ、運命の人に出会えるかは保証できない。
とにかくタダ、タダ、タダ!!
その2「相席屋」
次に向かったのが、渋谷にある「相席屋」。こちらはなんと、女性の飲食は無料。男性は30分食べ飲み放題が初回1500円で、10分延長ごとに500円が追加されていくシステムだ。女性と男性の圧倒的な差に恐縮しながらも店前まで行くと、なんと木曜日の22時過ぎだというのに行列ができていた。女性は並ぶことなく入れるので、まずは入店。入ると店員さんがお店のシステムを説明してくれる。相席居酒屋であること、フードやドリンクはセルフサービスであることなど。一通りルールを聞き、いざ男性が待つ席へと案内される。
3人組の男性が私たちを待っていた。
彼らは同じ会社の仲間で、年齢は35歳前後。映像関係の仕事をしているのだそう。ちなみにここに来るのは4回目とのこと。
1杯目の飲み物は、店員さんが持ってきてくれて、乾杯の音頭まで取ってくれる。2杯目以降はセルフになるのだが、焼酎、日本酒、ジン、ウィスキー、ウォッカ……と、とにかく豊富な種類が揃う。食べ物もセルフ方式で、女性の好きそうなパスタや、フライ、サラダ、駄菓子などが取り放題だ。パーティ系メニューが好きで、とにかくお酒が飲みたい女子にはうってつけだろう。それもあってか、店内は20代前半と思われる若い女性がほとんど。ギャル系やコンサバ系の可愛らしい女性が多かった。
また、席は一度通されるとチェンジすることができないので、タイプじゃない人たちの席についてしまったら地獄かもしれない。もちろん男性側も然り。
3人の男性はひたすらとシモ系の話をしたがった。「ブラジャーとパンツの色は同じなの?」「性欲溜まったら女の子ってどうするの?」とか。正直絶対にモテないと思う。っていうか失礼すぎません?
だが、Aちゃんの反応は思いのほか良く、「さっきのお店よりフランクだし、結構普通っぽい人が多くて楽しかった! 電話番号交換すればよかったなぁ」と。
会計時には会計カードを渡すのだが、本当にタダだった。お酒も飲めたし、ご飯も美味しかった。ただ、初対面でシモの話は勘弁して欲しい。
まとめ
今回、2つの相席系居酒屋に行ってみたが、普通に過ごしていたら出会わないであろう人たちに出会えるという点と、飲食代が安く済むという点では、活用する価値はあると思う。一件目は、本気度が高いので、本当に婚活したい人におすすめしたい。また、占い目的だけでの入店も可能だそう。二件目は、もうちょっと軽い気持ちで行ける雰囲気だった。単純に男性と出会いたいときには良いかもしれない。また、お酒もご飯もクオリティが高いので、給料前でお財布がピンチなときにも使える。
女性というだけでこれだけ得をするのだから、ぜひ一度行ってみてはいかがだろうか。ただ、男性に対してはあまり期待しすぎてはいけない。