2015.03.25
頑張る人の定番ワークウエア、“デニム”
今や誰もが知っているし、持っているであろうデニムウエア。ワークウエアの垣根を越えて、現在では、完全にデイリーウエアのスーパー・ベーシックになっている。
シーンに合わせたアイテムを選びはするけれど、色んな職業や多くの人が集まる東京では、ONとOFFの区別もなく日常着として身に着けることができるアイテムとして認知されていると思う。好きだから着る!でもいいのだけれど、基本のストーリーぐらいちゃんと押さえておきたいというのが、TOKYOWISE的方針だったりするので、まずはお勉強を。
#1 起源は作業着だったデニム
アメリカの開拓時代、リーバイ・ストラウスが考案した幌馬車のキャンバス地を使い、金鉱堀りのための極めて頑丈なパンツがジーンズの始まりとされている。そのキャンバス地をより丈夫なデニム生地に変えたのが、1880年ごろ。ここで今、私たちがジーンズと呼ぶパンツの原型が完成された(ほぼ変わっていないという驚き)。
ちなみに、デニムとは生地名のこと。フランスのニーム地方で織られていた「サージ・ドゥ・ニーム」が語源とされている。で、汚れが目立たないようにということでインディゴ染をされたのだという。一方、ジーンズという呼称は基本的に作業用のパンツと考えていいだろう。ここで言うデニムウエアには、ジーンズだけでなくいわゆるジージャンやデニムシャツも含まれることになる。
#2 デニムはファッションとなる
さて、作業着として着用されていたデニムウエアが普段着として取り入れられ、トレンドやファッションとして一般的に認められるようになったのが’50年代。そのきっかけのひとつに映画・俳優の影響があった。マーロン・ブランドやジェームズ・ディーンが作中で魅せたデニムスタイルは、その後、若者たちに大きな影響を及ぼした(ちなみにディーンはLEEを愛用)。革ジャンや真っ赤なブルゾンにインディゴブルーのデニムを組み合わせたそのスタイルは、瞬く間に世界へと広まった。’60年代に入ると女優たちもこぞってジーンズを穿き始め、ブリジット・バルドー、ジェーン・バーキンらがデニム・アイコンとなっていった。
’70年代に入るとベルボトムなどシルエットの変形化が起こり、同時に反体制のシンボル的ウエアにもなっていった。そんな嵐も去った頃、アンディ・ウォーホルがネイビーブレザーにリーバイスを合わせレジメンタルストライプのタイをボタンダウンシャツに締めてパーティに登場したあたりから、ジーンズは完全にファッションのアイコンへと昇りつめたのだと思う。
今では数えきれないほどのブランドがデニム素材のアイテムを展開している。とは言え、リーバイスの501の人気は衰えを知らず、今のデニムウエアの繁栄に一役買ったマスターピースであることは言うまでもない。と同時に501を超えるジーンズというのも出ていないように思う。
#3 デニム生地の最高峰はMade in Japan!
アメリカ生まれのデニムウエア、近年は日本のブランドの勢いや注目度も上昇。中でも、安価で種類豊富なGUやユニクロのジーンズや、シンプルで穿きやすいと評判の無印良品は人気が高く、デイリーユースに持ってこい。性別はもちろん、世代に合わせたサイズやカラー展開など、より多くの人が着用できるように考えられているところも購買者とマッチしているのだろうと思う。
その背景として特筆すべきは、今や、日本はデニム生地の生産国としてTOPクオリティだということ。特に広島・岡山はデニム生産の聖地とさえ呼ばれ、海外ブランドも買い付けに来るという。まさに日本のデニムが世界を席巻していると言っても過言ではないよね。
#4 デニムを東京スタイルで着こなせ!
さて、本題。東京ならではのデニムの着こなしを考えてみよう。今や男女を問わず、デニムウエア(特にジーンズ)は、あらゆる仕事の場に登場している。もちろん、銀行や商社といった対外的に硬いイメージの会社では職種によってNGという場合も多々あるとは思うが。。
一方で、私たちのような編集ライターという業種やファッション関係でジーンズは特別なものではなく、会議だろうが会食だろうがジーンズでOK。言わばONとOFFの境界線が曖昧なくらいだ。その他、IT系や広告関係なんかもこの部類かな。
とはいえ、TPOに合わせて服を選ぶというベースがあってのことだから、清潔感や大人っぽさ、きちんと感などを意識すべきシーンでは、ジーンズの取り入れ方にも気を遣わなければならない。
で、ジーンズの東京的スタイルを決めるのは、何と言っても足元だと断言したい。例えば、トップスにジャケットを羽織るなら、足元にスニーカーはNG……ラフになりすぎて、きちんと感が演出できないからだ(作業の時は別として)。
男性ならローファーないしウイングチップなどの革靴がマスト。女性ならヒールのあるパンプスを選ぶ。赤やロイヤルブルーなどのインパクトのあるカラーを選ぶのもいいだろう。あくまでジーンズはファッションとして扱うということ。スタイリッシュに仕上げるのだ。
また、ベルトやジーンズのシルエット、ロールアップの幅などにその人のセンスが表れるので、デニムスタイルを昇華させるためにはアイデアや工夫も欠かせない。ま、トライアル&エラーを繰り返すという、日々精進が大切なのだ。ジーンズは着る人の体型に合わせて変化する“生き物”だと考えて、自分に馴染むまで飼いならすことが必要なウエアなのだ。
特に2015年の春夏ファッションでは、ノームコアの影響か「デニム on デニム」が注目されているという。これ、けっこう高度なコーディネートが必要。下手すると、今日は工事ですか?という作業着然とした結果に終わりかねない。ポイントは上下でデニムの濃淡を付ける。ジーンズが色落ち系ならシャツは濃いめのデニム地にするとかだ。ここでも足元をエレガントにすることは忘れないように。
日常着へと進化したカジュアルのパイオニア的存在のデニムウエア&ジーンズ。実は、今も昔も「仕事をする人」の身近にあるアイテムであり、長年愛されてきた称賛すべき“定番アイテム”なのだと思う。