2014.09.20
東京30代女子は、なぜセリーヌのバッグを欲しがるのか?
「30代になったらアメリカブランドのバッグはもう持てない」。そう言った知人がいたが、それからというもの、何となくマーク(ジェイコブス)のバッグを持ちたくなくなったのは、腑に落ちるところがあったからなのだと思う。ファッションの中心地・東京においては、どうやら30代になったらバッグはヨーロッパブランドへ移行するのが賢い選択のようだ。
とはいえ、いきなりエルメスのバーキンでは値段的にも気分的にも時期尚早。そこで白羽の矢が立ったのがセリーヌのバッグだ。クリエイティブ・ディレクターがフィービーなってから、セリーヌの人気はうなぎ上り。ラゲージにしてもカバにしても、実に都会的で惚れ惚れするほど洗練されている。
人によるが、自身の経験からすると20代のブランドバッグはステイタス・シンボル以外の何者でもなかった。逆三角形のロゴプレートさえ付いていれば、バッグの形なんてどうでもよくて(実際はナイロンのトートかリュックだった)、何を着ても同じバッグを得意気に持っていた。それが、よく見ないとわからないほど小さく箔押しされたロゴのバッグに魅力を感じるとは、30代って不思議なものだ。
では、30代になったらブランドバッグを持つことがステイタスではなくなるかと言われるとそうではない。やはり心のどこかで“自慢したい”ヨコシマな気持ちはある。しかし、20代のときのような「人気があるから」「みんな持っているから」といった理由でバッグを選ばなくなるのは確か。30代になるとファッションにおいては身の程を知るからか(恋愛は別)、自分にとっての“It Bag”を自然と選べるようになる。自身ならきっとコンサバ感の強いラゲージよりカバだろうなとかね。素晴らしき、東京30代女子!
ちなみに、ファッション業界に精通している某PR会社社長(30代女子)によると、セリーヌのバッグでさえ、そろそろ落ち目なのではないかと推測する。彼女いわく、これからの東京30代女子のバッグはサンローランだそう。このお方、辛口トークが非常におもしろく、「コーチは中国人が持つバッグ」と言っておりました(苦笑)
そして、驚くことに先日お会いした敏腕ファッション・エディター(30代女子)もIt Bagにサンローランを挙げていた。これは先見の明があるぞと思い、いろいろ聞いてみることに。
──セリーヌはもう終わり?
うーん、終わりかな……。
──プラダはもう終わり?
そんなことはないと思うけど。
──クロエは?
ガーリーなイメージの人がまだ持つと思う。
──ディオールは?
独自の道を進んでいる感じ。
──フェンディは?
いいと思う! あと、意外といいのがヴァレクストラ。
──ヴィトンは?
なんか持つのが恥ずかしい。コンサバ感が強すぎて。
──エルメスは?
もう別格! 欲しいですね〜。
自身は靴フェチでバッグには無頓着なところがあったが、こうやって見ると、バッグこそ男の時計のように自身の価値を示すシンボルだったのかもしれない。ならば、東京30代女子として恥のないバッグを持たなくては。この秋冬は洋服を買うのを抑えて、バッグに投資してみようと思うのであった。さて、どれを買おう……♡♡