日本が誇るスーパーフード アレンジ自在の 「大徳寺納豆」とは?Japanese Super Food “Tera Natto”!!

2017.03.06

vol.16 TOKYO NEXT
日本が誇るスーパーフード アレンジ自在の 「大徳寺納豆」とは?

発酵食がマイブームだ。甘酒を手作りしたり、ぬか漬けを始めた。納豆に関しては、スーパーで「おかめ納豆3パック98円」程度のものでも十分に栄養があると専門家から聞いたことがあるので、中でもいかにも安全性をアピールしている「国産」とでかでかと印字された、「3パック130円」程のものを買っている。しかも、常備しているのを忘れてまた次を買ってしまい、前回分の賞味期限が一週間程切れてしまっていても平気で食べているのだが、これも一ヶ月(どころか一年近く)賞味期限が切れていても全く問題なく食べられるという専門家もいる。

今回、TOKYOWISE編集長が大の納豆好きということもあり、発酵食の中でも納豆をフィーチャーすることになった。納豆か…おじさんは何でこう納豆が好きなのだろう(あくまで主観です)。甘酒の方が、おしゃれで女子ウケしそうなのに。

それはさておき、納豆がここまで中年男性をはじめ多くの日本人に愛されているのは、その手軽さと栄養価の高さから。納豆には良質なタンパク質の他に脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物繊維といった基本的な栄養素が全て含まれており、さらにネバネバ成分の「ナットウキナーゼ」は血液をサラサラに、大豆成分の「大豆イソフラボン」は女性ホルモンと似た働きをするため老化防止に役立ったりと、その効能を知れば食べずにはいられない。また熱や酸、乾燥、低温にも負けない非常に強い納豆菌が腸内の悪玉菌や病原菌を殺してくれるので、下痢や便秘の予防にも繋がる。

そんな納豆なのだが、一般に食べられているネバネバした「糸引き納豆」の他に、黒く湿ったまま乾燥している「寺納豆(=大徳寺納豆)」というものをご存知だろうか。
寺納豆とは蒸した大豆にはったい粉をまぶし自然発酵させ(麹菌を添加する方法も)、塩水に漬け(塩に強い乳酸菌のみが残る)、それを吸わせながら乾燥・発酵させたもので、その昔中国から大徳寺をはじめお寺に伝わり、精進料理に不足しがちなタンパク質源として食べられていた。風味は豆豉に近く、調味料として主に使われていたが、後に酒肴やお茶請けとして食される他、最近ではスウィーツのアクセントや、パスタやピザのトッピングにするというアレンジレシピも紹介されている。

美容系のサイトでは「おやつ代わりに、ピルケースに入れて持ち歩いている」女性までいる。寺納豆は、元祖オーガニックサプリメントともいえそうだ。

この寺納豆をぜひ食べてみたい。そこで、東京では手に入りにくい寺納豆の代表格「大徳寺納豆」をメニューに取り入れている、発酵デリカテッセン カフェテリア『Kouji&ko』に行ってみることにした。『Kouji&ko』のメニューは、発酵学者小泉武夫先生※1が監修。現在、大徳寺納豆を使ったメニューはディッシュデリの「ローストチキンの大徳寺納豆ソースと黄野菜 カレー風味」と、スウィーツの「抹茶レアチーズケーキの大徳寺納豆添え」の2品。ここで小泉先生アドバイスのもと、メニュー開発に携わる『Kouji&ko』のシェフ大島今日※2さんにお話を聞くことができた。

『Kouji&ko』のシェフ、大島今日さん
『Kouji&ko』のシェフ、大島今日さん。
発酵デリカテッセンカフェ テリア『Kouji&ko』
発酵デリカテッセン カフェテリア『Kouji&ko』。
大徳寺納豆を使ったメニュー、「ローストチキンの大徳寺納豆ソースと黄野菜 カレー風味」と、スウィーツの「抹茶レアチーズケーキの大徳寺納豆添え」
大徳寺納豆を使ったメニュー、「ローストチキンの大徳寺納豆ソースと黄野菜 カレー風味」と、スウィーツの「抹茶レアチーズケーキの大徳寺納豆添え」の2品。
大島さんと大徳寺納豆の出会いは7〜8年前、知人が京都土産に買ってきてくれたもので、東京出身の大島さんは、それまで大徳寺納豆の存在すら知らなかったという(ちなみに関西出身の方も日常的に食べるものではないらしい)。独特な匂いと風味の大徳寺納豆をそのまま食べてみても、特別美味しいとは感じなかった。初めて大徳寺納豆を使った料理を発表したのは、小泉先生と共に日本の優れた発酵調味料・発酵食品を使ったイタリア料理のフルコースを創作するイベント。熟成豚のローストに、大徳寺納豆を使ったソースをかけた。バターやチーズなど乳製品との相性が非常に良く、来場者には「初めて食べたけどこれ何ですか?」と興味を持たれた人も多いという。

試しに、料理に使われる前の大徳寺納豆を一粒いただいたのだが、お皿に盛られた黒い固形物体は、テーブルに運ばれるまでの時点で強烈な匂いを放っており、味はとても塩辛く独特な味わいで、私は小さい頃お腹を壊したときに飲んだ正露丸の味を思い出した。後から乳酸菌のためか酸っぱさも口に広がってくる。


これが大徳寺納豆だ。
耳かき一粒ほど、ピスタチオの隣にあるかないかわからない程度にトッピングされた「抹茶レアチーズケーキの大徳寺納豆添え」では、ささやかな量でも強烈な存在感を醸し出している。しかしなるほど、そのしょっぱさとコクがチーズや抹茶の甘さ、風味を絶妙に引き立てている。 「ローストチキンの大徳寺納豆ソースと黄野菜 カレー風味」に関しては、塩麹や味噌たまりといったソースに使われた調味料とうまく融合し、チキンを上質な味へと昇華させていた。

ちなみに大徳寺納豆はネットで100g 700円程度。せっかくなので京都の本家「磯田」の大徳寺納豆を購入し、大島さん直伝のレシピを実践してみた。

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