ARTIST SELF-PRAISE 作家自画自賛 UNITED ARROWS バイヤー 小木”Poggy”基史

2016.07.22

ARTIST
UNITED ARROWS バイヤー 小木”Poggy”基史

アーティスト自身による
自画絶賛 Vol.14
UNITED ARROWS バイヤー
小木”Poggy”基史氏

-セレクトショップの未来はどこへ向かう [後編] –



OPENERSで掲載の “セレクトショップの未来はどこへ向かう [前編]” では小木氏の原点を伺った。
後編では、仕掛けてきたこと、今後の展望に関してお話しいただく。

ファッションは果たしてカルチャーになり得るのか

ユナイテッドアローズ原宿本店の立地は、原宿と言ってもかなり奥に位置している。
「’UNITED ARROWS & SONS’ を始めて、ここまで来てもらうのにはどうしたらいいかと考えて、それまでやってなかったイベントをやろうと。DJブースを作って、パーティをやって洋服だけでなくカルチャーをミックスして、おしゃれして出かける楽しい場を自分達で作り始めました。その頃になるともうエレクトロミュージックの影響かHip-Hopはマイナーじゃなくなっていて、パリを意識したりし始めて、急激にカルチャーが変わり始めました。Hip-Hopがスキニーなんて以前は考えられなかったし」
「ここ数年でカニエ・ウエスト周辺からもクオリティの高いブランドが登場したり、クリエイターたちも次々と現れて、Hip-Hopも単なるストリートのファッションから一気にグレードが上がってきました。ジェリー・ロレンツォがやっている”FEAR OF GOD”をはじめとしたLA発のブランドに注目していました。LAはハリウッドが控えているからか、カジュアルウェアにもクオリティを追求する風土があるのかもしれませんね」 気になったブランドへは直接コンタクトを取り、パーティに何度も通って、他のセレクトショップでは仕入れることのできないブランドを次々と発見していく。まずは遊び仲間になり、コミュニケーションが成立した上で、日本でも売ることができるようになる。
そんなこれまでのバイヤーが成しえなかった独自のルートは、小木氏の独壇場とも言える。

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そしてシンプルにたどり着く

「これまでは足して足してというのが僕のスタイルでした。ある時に藤原ヒロシさんはいろいろとやっているようで、実は常に一貫していることに気がついたんです。着ているものもオーセンティックなのに着こなしがいつも新しい。そうか!シンプルに考えると見えてくるものがあるんだって。ここ最近になってシンプルをもう一度ちゃんと考えようと。そうすると、これまでの足して足しての自分の人生がもう一度生きてくるんだと」
ストリートファッションを生み出したHip-Hopと、世代を超えて受け継がれてきたトラッドのミックスも完成形を迎えようとしているのだろうか。 「ユナイテッドアローズはもともとトラッドが好きでそこにモードを組み合わせるのが好きだと思われてきたのだけれど、若いスタッフたちはストリートファッションも好きだし、会社に入ってからトラッドを学ぶ人も今はいます。そんな中で、自分のスタイリングをどうやって人に伝えて、新しいファッションのスタイルを提案できるかということが今の自分の課題だとも思っています」
それは百貨店ではなく十貨店をやろうという、ユナイテッドアローズの理念にも通ずるところがあるのだろう。
「3年前くらいにラリー・クラークを呼んでイベントをやったことがあるのですが、70歳くらいのおじいさんが杖をついて、シュプリームのTシャツを着ているのが本当にかっこよく見えたんです。そういう風になりたいと思う反面、ベーシックをもう一度ちゃんと勉強しなくてはと考えるようにもなりました」

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ソーシャル時代のコミュニケーションへ

「いろいろな考え方はありますが、僕は自分自身が海外のブログに取り上げられたことで世界が広がったという経験があるので、積極的にインスタグラムを使ってコミュニケーションをとるようにしています。そうするとことでバイイングの熱気を伝えることができたり、いち早く提案をプレゼンテーションできたりすると考えています」。
海外からの来客も多く、東京の様々な今をインスタグラムを通じて発信し続けるという。
「セレクトショップという業態も大きく様変わりしています。これまでのままではダメだと思うし、かといって先輩たちが築き上げてきたユナイテッドアローズというブランドを守りつつ発展させるにはどうしたらいいか、そんなことを常に考えています。自分自身が進化してまた新しいユナイテッドアローズの顔を作りたいですね」

貪欲さと好奇心とチャレンジングな精神の塊のような小木氏。どんな新しいチャレンジを見せてくれるのだろうか。そしてもっともっと東京をいじり倒して欲しいと思うのだった。

OPENERS “セレクトショップの未来はどこへ向かう [前編]“

(Text: Y.Nag)
(Photo: Hiroyuki Matsumoto)


小木”Poggy” 基史|KOGI”Poggy” Motofumi
UNITED ARROWS & SONS Director(ユナイテッドアローズ&サンズ ディレクター)

1976年札幌生まれ、1997年6月ユナイテッドアローズ有楽町店でアルバイトをはじめる
2002年有楽町店、ブルーレーベルストア 原宿店(現ビューティ&ユース)などを経て、ユナイテッドアローズ プレスに就任
2006年社内ベンチャー制度によりLiquor, woman & tears を立ち上げディレクターを務める。 ※同ショップは 2010年に閉店
2010年ユナイテッドアローズバイヤーに就任。同年UNITED ARROWS & SONS を立ち上げ、ユナイテッドアローズ 原宿本店 メンズ館 B1F にコンセプトフロアオープン。
2010年THA RAKE 誌が選ぶ世界の 50 人に選出
2013年RISD MUSEUM の Exhibition、ARTIST/REBEL/DANDY:MEN OF FASHION に選出
2014年ユナイテッドアローズ 原宿本店 メンズ館 1F をリニューアルし、UNITED ARROWS & SONS を拡大。
2015年8月ラスベガスで開催されている合同展示会”Liberty Fair”に POGGY’S WORLD を初出展。
2016年3月ジュングループが手がけるコンセプトストア “THE PARK・ING GINZA”にポップアップショップ POGGY’S BOX を出店
現在、SNSでも彼を支持するフォロワーが多く、彼のセンスと動きは国内外のファッション界から注目浴びる一人。

<問い合わせ先>
UNITED ARROWS & SONS
Tel. 03-5413-5102
http://www.unitedarrowsandsons.jp

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