2017.06.01
- ARTIST
アーティスト自身による
自画絶賛 Vol.19
花井悠希
ヴァイオリニスト花井悠希は、
なぜビートルズを演奏することになったのか?
花井悠希自身による花井悠希の解説
ーヴァイオリンへの想いー
まずヴァイオリンという楽器について。
私は、ヴァイオリンという楽器は、人の心に寄り添い、直接語りかけることができる楽器だと思っています。これは弦楽器全般にも言えるのですが、音の揺らぎ方、発音と消え方、自由自在に操ることのできる音程や音量など、とても人間の声に近いものがあるからです。
だから私は音色というものに、私なりのこだわりを持っています。音色というのは、人の声の個性と同じで1人ずつ違うように、ヴァイオリンの音色も千差万別。
音色の難しいところは、ヴァイオリン自身が持っている個性と演奏者自身の個性が融合し、共鳴し合い、やっと、自分のヴァイオリンの “声” というものになるんですよね。
これは一生をかけて常に自分の理想と照らし合わせながら追い求めていくものだと思います。
そして、ヴァイオリンは楽器と演奏者との距離がとても近い楽器です。顎に挟んだヴァイオリンは首と肩と頭に繋がり、左手はヴァイオリンのネックと、右手は弓を介してヴァイオリンの弦と繋がっている。一心同体に近いんですよね。だから、音を奏でるときは、ヴァイオリンに言葉を語らせているという感覚があります。
それが私がクラシックだけでなく、歌詞のあるものも積極的に取り入れたいと思っている理由です。
クイーンのカバー「We Will Rock You」
バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンに、メンデルスゾーン、ブラームス、チャイコフスキー、ショスタコーヴィチ・・・胸を焦がすような甘いメロディも、自然と涙が零れ落ちるような美しい響きも、はたまた弱りかけた気持ちを鼓舞するようなリズムも、クラシックと呼ばれるジャンルの曲たちの中には、すでに一生かけても弾ききれないほどたくさんあります。でも、ポップスやジャズや、私が1966カルテットで演奏してきているロックにもやっぱり、なんて美しいんだろうという釘付けになるメロディーや、張り裂けそうな魂の叫びが強く呼びかけてくる瞬間が確かに存在していて、そこに惹かれる自分がいて。どっちも選べないほど好きだから、両方にトライしたいと思ったのです。
素晴らしいものは、素晴らしい!って、壁を作らずジャンルを超えて、受け止めて手に取ってもらえたら素敵だなぁという想いで、クラシックに捉われない現在のスタイルになりました。
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