ARTIST SELF-PRAISE 作家自画自賛

2016.05.27

ARTIST
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アーティスト自身による
自画自賛 Vol.13
大日方久美子

大人スタイルは、こうして創られた


「大人シンプルスタイル」は一夜にしてならず

大日方久美子さんは、インスタグラムを始めるまで、パーソナル・スタイリストとして仕事をしていたとはいえ、ほぼ無名の女性だった。そんな彼女が本「“エレガントから作る”大人シンプルスタイル」を出すことになったきっかけは、やはり<インスタグラム>だった。

「何人かのインスタグラマーに声がかかって、その中で私はいちばんフォロワーも少なかったし、メディアに出ている人間じゃなかったから、とても心配でした」。

そんな彼女の本作りをバックアップしてくれた強力な助っ人が、エディターでありクリエイティブディレクターとして活躍する白澤貴子さんだった。

「前から、憧れの人でしたし一緒に仕事ができるなんてラッキーでした。彼女が本の進むべき道筋に先に旗を立ててくれて、そこに向かって私がコーディネートやアイデアを作っていくという、本当に二人三脚のような作り方でした」。

160512_089 大日方さんの仕事はパーソナル・スタイリスト。つまり、一人の人と向き合って、その人のパーソナリティやワードローブを知りながら最も素敵になれるスタイリングをヘルプするという仕事だ。

ところが本作りは、ターゲットという考え方はあるものの、ある意味不特定多数に向かっての作業になる。大日方さんの普段の仕事とは大きく異なる。そこに編集者・ディレクターの役割は大きくかかわってくるということなのだろう。

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「そこで、よしっ!と割り切ったのが、自分なりのオシャレのルールをきちんと話そうということ」。

それが本の冒頭に掲げられている4つの基本だ。

1:シンプルな服を揃える
2:バランスを考える
3:大人のルールを知る
4:おしゃれは楽しむもの

それぞれの詳細は本を読んでいただくとして、この基本を彼女はどうやって見つけ出したのだろう。

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自分に自信がなかったから、試行錯誤できた

「20代の私は本当に自信がなくて、太っていたし、コンプレックスの塊でした。でも変えられることができるのはどこかと考えて、まず体重を落とすことから始めようと。そこから“キレイ”ってなんだと考えるようになりました。それまでの自分は、アイテムで個性を出そうとするあまり、ちぐはぐなコーディネートばかりしていたような気がします。ある時、なぜ就活の時にリクルートスーツを着るのかという話を聞いて、同じような服装でも、そこから光る個性を見つけ出すためと聞いてハッとしたんです。そうか、服やアイテムで個性を出すのではなく、シンプルでも自分らしい美しさを出せばいいんだと。本でも書いたんですが、“外見は内面の一番外側”ということが私のコンセプトの一つになりました」。

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オシャレの途は1日にしてならず

「私がインスタグラムを始めたのは、2年前のこと。その間に大きく人生が変わってきているのを感じています。いろいろな試行錯誤もあったのですが、自分自身で感じているのが、自分が変われば人の私に対する見方も変わるんだということです。だから、どんどん自分を進化させたいと考えています。“死ぬこと以外、かすり傷”というのも自分なりの好きなフレーズです。その意味でも本を出すというのは冒険だったのですが、巻頭の言葉を何度も書き直しているうちに、どんどん自分が裸になっていく気がして。そうなると怖いものがなくなってきて、もう全裸で走るしかない!的な(笑)」。

どこか開放的で、それでいてエレガント。友人でもある大日方さんと話す時間は、ポジティブな空気に溢れていた。きっとその裏側で人知れずの努力や、自分と向き合う事により、リラックスとエレガントを軽やかに往き来する美しい女性へと育ったんだなと感じる。

「今の年齢で、こうなっていて良かったと思うんです。焦らなくてもいいと今なら思えるし、何度でも基本に立ち返って、新しい自分を見つけたいと思っています」。

160512_118 自信に溢れつつ輝いている40歳の女性がそこにいる、幸せな時間が流れていた。

大日方久美子(おびなたくみこ)
パーソナルスタイリスト。
アパレルメーカー勤務の販売員時代、お客様の手持ちのワードローブを聞き、それをもとに服の購入を提案するという、思いやりとセンスあふれる接客に定評があり、多数の顧客を持つ。
退職後、2013年にパーソナルスタイリストとして独立。
独立後に始めたInstagramでは、自身の、服の値段にかかわらず上品でスタイリッシュな着こなしが人気を呼び、多数のフォロワーを持つ。
現在はアパレルブランドのWEBページでスタイリングやモデル、コラボ商品の開発なども行っている。

instagram
@kumi511976

official site
https://obinatakumiko.officialsite.co

(Text: Y.Nag)

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