ARTIST SELF-PRAISE 作家自画自賛

2017.09.07

ARTIST

アーティスト自身による
自画絶賛 Vol.21
菅原敏

いにしえの恋愛詩を独自の感性でアップデート
気鋭の詩人が新たに挑む“超訳”の世界

詩人として常に独自の歩みを続け、様々なメディアで活躍する菅原敏さん。7月25日にリリースされた新詩集『かのひと 超訳世界恋愛詩集』(東京新聞)が各方面で話題を呼び、Amazonの詩集部門でも1位を記録しベストセラーに。
取材当日は、ちょうど一ヶ月に及ぶヨーロッパの朗読ツアーから帰国されたばかり。そんな菅原さんに旅のことや新詩集の魅力について伺いました。



―ヨーロッパでの詩の朗読について聞かせてください。

チェコのプラハを拠点に一ヶ月ほどフラットを借りて、東ヨーロッパ、北欧、ロシアなど7カ国を巡ってきました。詩の朗読はロシアのサンクトペテルブルク、ポーランドのワルシャワの2都市で。どちらも大使館主催の文化交流イベントだったですが、現地のピアニストやオペラ歌手とご一緒しました。基本的には日本語での朗読。スクリーンに現地の言葉で字幕が出るのですが、自分で書いた言葉たちが見知らぬ衣装に着替えたような新鮮な感覚でした。来て頂いたお客さんたちも想像以上に詩への興味があり、色々と意見交換をできたのも嬉しかったですね。ロシアでは国民的詩人・貴族でもあったプーシキンの生家「プーシキンの家博物館」で朗読を。数百年の歴史の上に自分の言葉を重ねるような、かけがえのない時間となりました。
また、今回の本の入稿作業もプラハで行なっていたのですが、どこもwifi環境が良く、ちょうど白夜の日々だったので夜も明るくて。思ったより作業もスムーズにこなせたのは意外でした。





―新詩集『かのひと 超訳世界恋愛詩集』はそんな旅の直後にリリースされたんですね。  どんな詩集になっていますか?

図書館の片隅で埃をかぶって眠っている古い詩集たち。その中から再び、小さな宝石を見つけ出すように。ゲーテ、ニーチェ、シェークスピアから李白、小野小町、在原業平まで。古(いにしえ)の詩人たちが書き残した恋愛詩を、私の視点で新たに超訳しています。もしも彼らが2017年に生きていたとしたら、どんな言葉を紡いだのだろうか。ある種イタコになったような気持ちで過去の詩人たちとまなざしを重ね、彼らの残した言葉に私の詩を新たに重ねています。
国や時代も異なる、あまたの恋愛詩に触れるたび「百年前、千年前でも、恋すれば私たちは何ひとつ変わらない」そんなことを教えられます。結局「今の恋も、昔の恋」ですね。きっとこの本の中に、心に寄り添う一編を見つけてもらえるのではないかと思います。 一編の詩に対して一枚の絵が対になっているのですが、この絵はアートプロジェクト「漂流郵便局」でも話題の現代美術家・久保田沙耶さんの手によるもの。詩画集のようにも楽しんでもらえる一冊だと思います。

『かのひと 超訳世界恋愛詩集』(東京新聞)
http://amzn.asia/5iXogTT
詩:菅原敏 
絵:久保田沙耶
ブックデザイン:KIGI
定価:1700円(税抜き)

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