2017.11.28
最近、やたら目に入ってくる「マインドフルネス」というワード。なんとなくスピリチュアルな匂いがするが、どうやらヨガや瞑想ブームの波に乗り、日本にやってきたらしい。仕事のパフォーマンスアップや、集中力が養われるとしてビジネスシーンでも実践され、成果を出している。これはぜひ会得したい!ということで、この怪しくも魅力的なマインドフルネスについて紐解いてみたいと思います!
ビジネスシーンで活用されるマインドフルネスワーク
そもそも、「マインドフルネス」とは? 仏教を学び、それを西洋科学と結びつけ、世界に広めたとされるマインドフルネスの権威、ジョン・ガバッド・ジン氏によると、
「Mindfulness is the awareness that arises through paying attention on purpose, in the present moment, non-judgmentally to the unfolding of experience moment by moment.」
「今この瞬間に、価値判断を加えることなく、意図的に、能動的な注意を向けること、そして、そこから得られる気づき(アウェアネス)」
(訳:マインドフルネス教育ネットワークより)
とのことなのだが、やはり実態が掴めない。では、実践している企業を参考にしてみよう。まず、Google社が独自に開発した研究プログラミム「サーチ・インサイド・ユアセルフ」。これは、マインドフルネスを科学的根拠に基づき、日々実践しやすい形にしたもので、自己認識力、創造性、人間関係力などさまざまな能力を高める技法として、世界のトップ企業や、教育機関でも次々に採用されている。開発者自らが語る教本が日本にも上陸したこと機に、ヤフージャパンも瞑想をはじめとしたマインドフルネスワークを実践している。「仕事のパフォーマンスが上がった」と社員からも好評だとのこと。
では、個人が実践するには….?ヨガや瞑想もよいのだが、そもそもマインドフルネスのルーツは前にも記した通り、仏教(禅)にあるらしい。それでは、禅宗のお寺でマインドフルネスについて聞いてみよう!とリサーチすると、広尾にある臨済宗※1大徳寺派の香林院というお寺で、平日は毎朝7時から、日曜は夕方5時から坐禅会を行っている。予約不要で誰でもふらりと参加できるとのことなので、早速日曜日に行ってみた。
老若男女が集まる坐禅体験会レポート!
広尾駅から徒歩約3分。同じ宗派である臨済宗のお寺が密集する敷地内に、香林院はあった。30分ほど早めに着いたが、既に坐禅会の参加者の姿がちらほら。坐禅ルームとなる和室には、2枚重ねになった座布団が30組ほど並べられている。
まずは、住職さんが用意してくれたプリントを頼りに、1.合掌・低頭、2.座る・姿勢を整える、3.呼吸を整える という手順で各自準備をする。
その間にも続々と参加者が現れ、慣れた様子でこの手順を済ます。もともと置かれていた座布団が埋まり、さらに隅に積み上げられていた座布団を運び、自分のスペースを確保する人まで出だしたとき、住職さんが、定位置につき、「チーン」という鐘の音と共に、坐禅がスタート
した。(お経か何か読むのかな、と思っていたのだが、それが前半戦開始の合図だった)。
まずは25分。私の目の前は、ロックバンドをやっていそうな風貌の青年。少し不機嫌そうに斜め下を見つめ、猫背気味の姿勢を保ったまま座っている。右斜め前は小学校低学年位の女の子。ぱっつん前髪と、クリクリした目がとても可愛らしい。席が埋まっていたのでお母さんとは隣同士で座れず、離れて独り、目をぎゅっと瞑っているが、たまに薄目を開いたりしてお母さんの様子を窺っている。私も周りばかり観察していたわけじゃない。姿勢と呼吸を整え、「目はつぶらずに」と書いてあったので半眼で視線を一点に集中させるよう心がけた。色々と雑念はあったが、あっという間に前半戦は終了した。
※坐禅会終了後に撮影しています。
5分の休憩の間に、小学生の女の子の親子や数人が退出した。座布団に空きができたので、私は手順に「目はつぶらずに」とあるのにほとんどの人が目をつぶっているのが気になっていて、住職さんという生きた見本に倣うために、住職さんが見える位置に場所を移動した。後半戦スタート。かなり遠いが、住職さんの坐禅ポーズを観察した。「あれ、目瞑ってる。」なんだ、目は瞑ってもいいのか。ということで、今度は目を閉じ、姿勢と呼吸を整えることに集中した。映像が見えないので安易にリラックスできた。が、眠い。静寂に包まれた、ほんのりお香の匂いが漂う部屋で座布団の上に座り、その心地良さに脳がお休みしようとしている。
そんなとき、「バシッバシッ」と軽快な音が響き、目を空けると住職さんが木の棒を持って坐禅者の間をゆっくりと歩くのが見えた。おおっあれが警策※2か。微動だにしようものなら叩かれるのでは….!とビビっていたものの、どうやら打たれたい方は自ら志願するシステムらしい。ほとんどの人が住職さんが自分の前に来たあたりで一礼し、バシッと肩を打ってもらっている。これも体験。私もソワソワと住職さんが来るのを待ち、右、左と肩を打っていただいた。音の程には痛くなかったが、気持ちを切り替えることができた。そして、「自分はまだまだ修行の身」という身の引き締まる思いで、残りの坐禅時間に集中した。