2017.10.19

Vol 21.学ぶ東京

高齢化問題は人間だけじゃない!? 知っておきたい 東京ペット事情

猫ブームが落ち着きをみせる一方、実話を基にした『ボブという名の猫』や、犬の輪廻転生を描いた『僕のワンダフルライフ』など、人間とペットの共生について考えさせられるドラマチックな内容の映画に注目が集まっている。動物好きと言われる私は、「一人暮らしで寂しいからペットを飼いたいと思っているんだけど……」と、友達から相談されることもしばしば。そんな時は、「あれこれ大変なこともあるよぉ。長生きしてくれれば20年、それ以上の付き合いになることだってあるし」と、つい口にしてしまう。
というのも、近年は、ペットフードや環境(室内飼い)の向上に伴い平均寿命も伸びつつあり、人間と同じように犬猫の高齢化も進んでいるのが現実だからだ。
特に東京など都心部における未婚率の増加や晩婚化が問題視される現代において、シングルでペットを迎え入れようと考えるとすれば、飼い主となる人の心構えや環境づくりは無視できない。

2000年代のペットブーム、ペットたちのその後


そもそも、ペットにブームがあるというのは、人間の勝手でおかしな話だ。振り返れば、海外セレブが小犬を脇に抱えてポーズを決めるスナップに注目が集まり、セレブと同じ犬種を購入する人が続出、その裏では異常な繁殖と売買が横行するという、これまたおかしな現象もあった。当時は、首都圏で24時間営業のペットショップがあったり、無免許で販売をする業者がいたり、命ある動物をネットショッピング感覚で売買するという倫理や道徳を無視したブラックな一面も。そうした問題を改善すべく、最近では動物愛護管理法により動物取扱業※1 の登録が義務付けられ、動物愛護や保護の意識も少しずつ変わってきているという。
そうして2000年初頭に飼われたペット(主に犬猫)たちは、存命ならば平均寿命※2 の14〜15歳(人に換算すると70〜75歳くらい)を過ぎ、完全に高齢の域にきている。

利用者急増! 老犬・老猫のためのペットホーム


人もペットも歳を重ねて行くのは当たり前。本来であれば病気になっても介護し、最期まで見届けるのが飼い主としての義務である。ただ犬猫も高齢化になると、癌やアルツハイマーなどの病気を発症することもあり、入院費には一日に2万円かかるなんてザラの話だ。また、高齢の犬猫は一度に適量を食べられず何回にも分けて食事をすることも多く、つきっきりの介護が必要になる。そうなると仕事をしてその医療費を稼ぐ必要があるが家で介護がしきれないという矛盾が生まれ、そこでやむを得ずペットホームに預けざるを得ないという現実がある。
「やむを得ない事情を抱えた飼い主に対して老犬・老猫の生涯預かりサービスの提供をスタートしたのは、2014年の6月のことです。現在、施設を利用いただいている飼い主様の理由としては、ご自身が高齢となりペットの飼育が困難になってしまったというものが7〜8割、結婚や出産(子供のアレルギー問題など)に伴う飼育困難を含めその他が2〜3割です」
と、語ってくれたのは、『東京ペットホーム』(東京都大田区)の代表・渡部帝(わたなべあきら)さん。



同施設は、24時間体制で老犬・老猫のケアと預かりを実施。病気を抱える犬猫が通院できるよう近くには動物病院もある。また、ペットに会いたくなった時は、いつでも面会することができる。

「ペットホームは、大きく2つに分けられると考えています。郊外には、低価格で広い敷地があり、ドッグランを併設している郊外型ペットホームがあります。しかし、アクセスの不便さや面会の足が遠のいてしまう、動物医療施設が少ないという懸念点もあります。『東京ペットホーム』は、飼い主様が面会に訪れやすい立地を考慮し、また、大切な家族であるペットをお預けいただいている方、ご入居を検討されている方からの “安心に暮らせる、家の中にいるような、そんな環境の中で過ごして欲しい”というリクエストに応えられる都市型のペットホームでありたいと思っています。郊外型も都市型も、どちらが良い悪いとかではなく、できる限り、飼い主とペットが共に安心できる環境を選ぶことが大切なのだと思います」

『東京ペットホーム』では、入居前に必ず見学を勧めている。その大きな理由は、人もペットも信頼と信用が大事であり、そのためには、見ること、会うこと、確認することを重要視している。

「個人的な意見ですが、見学不可、面会不可、犬猫の返還要求に応じない、低価格すぎる、個別管理方式を取っていないホームは要注意です。悲しい現実ですが、無登録で運営している施設や飼養環境が劣悪な引き取り屋まがいのホームもあるので……。大切なペットが暮らす場所、その雰囲気を直接確かめるためにも見学をお勧めしています」

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