2017.01.21

vol.15 TOKYO NEXT

昨今のパーティファッションに喝!


リトル・ブラック・ドレス−−。その言葉には、時として“大人の”“究極の”といった枕詞がつく。それは、リトル・ブラック・ドレスのイメージするところが『ティファニーで朝食を』のオードリー・ヘップバーンにあるから。装飾の少ない黒一色のドレスに、大粒のパールを合わせたオードリーのリトル・ブラック・ドレススタイルは女性の永遠の憧れ(元祖はシャネルだが)。しかし、蓋ならぬ扉を開けてビックリ。東京のパーティシーンはリトル・ブラック・ドレスのオンパレードだ!

気分はオードリーのリトル・ブラック女子を分析


・ゆるく内巻きにしたボブヘア
・ノースリの黒のワンピース。もちろんミニ!
・アクセサリーは大粒のパール
・足元は黒のルブタン(もどきも含め)
・シャネルのマトラッセ
・仕上げに赤いルージュ

「いるいる!」と頷いた人も多いはず。リトル・ブラック・ドレスは、どんなパーティシーンにも対応する万能型ドレスがゆえに、みんなで足並み揃えるユニフォーム状態になってしまったようだ。最近はどうも安っぽいリトル・ブラック・ドレス女子が多く、そこにオードリーのような高貴かつ妖艶な魅力は一切感じられない。かつては大人女子の特権とされていたリトル・ブラック・ドレスだが、ファッション業界の人たちはこの現象をどう見ているのだろうか。雑誌やカタログで活躍するファッションエディターに聞いてみた。

「私のリトル・ブラック・ドレスの旬は2010年頃。2010年に ギョーム・アンリがカルヴェンのアーティスティック・ディレクターに就任して、ふんわりしたフォルムのワンピースやスカートがラインナップされました。そのあまりのかわいさに、衝撃を受けたのを覚えています。それからミニ丈のブラックドレスがガガッと来ましたよね」

ファッション業界の人がリトル・ブラック・ドレスを好んで着ていたのは、ずいぶん前のこと。2010年以降、ファストファッションブランドが追随してリトル・ブラック・ドレスを販売し、6年経った今、オードリーを夢見る女子たちに定着したようだ。それまで彼女たちはマ●イで買ったアンサンブルみたいなペラペラのドレスを着てパーティに出かけていたことを思えば、リトル・ブラック・ドレスが浸透したのはむしろ喜ばしいことなのかもしれない。

とはいえ、黒を着ていればオシャレという時代は終わった。かのアナ様※が絶対しないコーディネートは「黒一色」だという逸話もあるほど。まあ、こうなった背景には、ベーシックこそがおしゃれであり、洗練されたファッションだというファッション誌やアパレルブランドによる思惑があったから。そんなベーシックの呪縛から解き放たれ、リトル・ブラック・ドレスを脱ぎ捨てる時が来たようだ。そもそも黒は不景気な色とさえ言われているのだから、明るい色のドレスを着て世の中を前向きにするのも女子力の発揚のひとつなんじゃないかなと。そこで、いま旬なパーティファッションについて、トレンドの一歩先をゆく人たちにリサーチしてみた。

最旬パーティファッションおすすめブランド5


古き良き時代の女性らしさというか、色香のある大人の女性をイメージしたファッションでパーティに出かけたい。(エディター・20代)
→おすすめブランド:mame | マメ

色合わせが素敵で、細やかなカットワークやディテールに技ありのドレスに注目している。(プレス・30代)
→おすすめブランド:Carolina Herrera | キャロリーナ・ヘレラ

パターンやシルエットにこだわりがあって、加齢による二の腕やお腹をカバーしながら、美しく魅せるデザインのドレスがいい。(MC業・40代)
→おすすめブランド:TADASHI SHOJI | タダシ・ショージ

エッジィの効いたデザインとエレガンスが融合されたドレスが旬。エキゾチックなトレンド感を出しているものが好み。(デザイナー・40代)
→おすすめブランド:ALEXANDER McQUEEN | アレキサンダー・マックイーン

ブラックドレスに飽きた今、カラフルなドレスに注目。差し色になるカラードレスや柄のドレスを着こなしたい。(デザイナー/30代)
→おすすめブランド:PEELSLOWLY | ピールスローリー

それでもあえて リトル・ブラック・ドレスを着たいという人は、メゾン仕立ての上質なものでお願いしたい(オードリーだってジバンシィなんだから)。いまやリトル・ブラック・ドレスは、ファストファッションだけでなく、ネット通販では数千円で売られている時代。そんな代物でちょいと私リトル・ブラック・ドレスのいい女を気取られてもすぐにバレますからね。今すぐ封印するか、アップデート貯金をするか。さて、どうします?

(Text:A.konbu)
(Illustration:大沢純子)

※アナ・ウィンター
アメリカ版VOGUE編集長を30年以上務めるファッション業界のご意見番。経済誌フォーブスの「世界でもっともパワフルな女性100人」にも選ばれている。

TOKYOWISE SOCIAL TOKYOWISE SOCIAL