2016.08.03
東京におけるルールや掟というものを考えたとき、ひとつの街の名前が挙がった。東京一、賃料の高い土地・銀座である。その銀座が、中国人観光客の爆買いにより、様変わりをしているというのはいまや有名な話。そもそも、2008年に『H&M』が初出店したあたりから、この街のシステムは狂いはじめていた。ファストファッションブランドが中央通りを牛耳り、古き良き時代の佇まいを残していた数寄屋橋のビルが、煌びやかなモダンビルに代わった。銀座に生まれ、銀座で育った人は、変わりゆく銀座の街でどのように過ごしているのか。銀座で100年以上続く老舗『髙橋洋服店』店主の高橋純氏に、銀座での過ごし方についてご教授いただいた。また、若い人の意見も聞いてみたく、高橋純氏のご子息である龍&翔氏も同席いただき、銀座への思い入れの強い編集部N(荻窪出身)も加わりさっそくトーク開始!
銀座で昼メシ、何を食う?
編集部N:僕の中で『よし田』のコロッケそそばを知らない人は、銀座に詳しいとは言えない。
純:最近6丁目にお店が移転して、きれいになりましたよね。僕は更科そばが好きだから、閉店しちゃったけど、『利休庵』によく行っていましたね。翔は『山形田』のそばが好きみたいですけど。
翔:松屋の裏にあって、地下の小さなお店なんですけどおいしいんですよ。山形そばっていうんですかね。
編集部N:あの辺まで行ったら、いま建て直しで休んでいるけど、『共楽』のワンタンメンもおいしい。券売機があるのに、おばちゃんにお金渡すっていう(笑)。
龍:僕は今日初めて『中華三原』行きましたね。チャーハンがめちゃくちゃ上手い。
純:『三原』はうちの親父が店に立っていた頃からよく行っていて、確かにここのチャーハンはおいしい。床に荷物を置くと油がつくんじゃないかっていう感じの店(笑)。
龍:あーゆう感じが落ち着くんですよね。普通の中華屋というか。中華なら交通会館の『交通飯店』も好きです。
編集部N:僕も交通会館好きでよく行きます。『交通飯店』はチャーハン餃子が定番だけど、ジャンクな味わいの味噌焼ソバも捨てがたい!
純:餃子といえば、最近移転してきれいになったけど、『天龍』は行きました?
編集部N:餃子以外のものも旨いんですよね。餃子が大きすぎて一人で行くと他のものが食べられないから、数人で行ってシェアしないと。
翔:いままで汚かった店が、移転して急にきれいになっちゃうとちょっと違うなって思いますよね。かといって、『とん銀』みたいになくなっちゃうのもさみしいんですけど。
編集部N:とんかつは『梅林』じゃないんだ。
翔:まだ食べたことないんですよね。(お値段が)高いイメージがあって……。
編集部N:『梅林』もそうだけど、銀座ってなんとなく、土地持ちのほうが土地代かかってないから、材料費に金かけているんじゃないかなって思っちゃう。
純:そんなことないでしょう(笑)。
編集部N:あ、あと昼メシでもうひとつ。蒸さない鰻の店『ひょうたん屋』。ふわふわじゃなくてパリッとした感じがおいしい。
純:銀座ってランチが高いイメージがあるけど、そんなことはない。1000円出せば、結構おいしいものが食べられる。
編集部N:洋食屋の老舗の『煉瓦亭』と『スイス』が並んでいますが、どっち派ですか?
純:『スイス』は普通の洋食屋だけど、『煉瓦亭』は銀座遺産。
編集部N:子どもの頃、ここで初めてオムライスを食べたとき「こんなのオムライスじゃない」って泣いた記憶がある。
翔:卵にライス混ぜて固めただけですもんね。
純:いや、それは認識不足だ。あそこはクラッシックなオムライスですよ。
編集部N・翔:いやいや〜。
純:たまたま失敗してきれいに(卵を)巻けなかっただけじゃないの? よし、明日煉瓦亭で行って確かめてみよう。
昼と夜のあいだ、お茶は?
翔:銀座といえば、水コーヒーの『どんパ』とかですかね。
編集部N:僕は銀座に来たら『パウリスタ』。椅子が低いのが昔の喫茶店っぽくて好きなんですよ。
翔:銀座の『パウリスタ』でブラジルコーヒーを飲もうというのが、“銀ブラ”のもうひとつの語源と言われていますからね。後づけ感はありますけど(笑)。
純:この前、食後のコーヒーを飲もうと思って、スタバ1号店の『銀座松屋通り店』に行ったらいっぱいで、『三十間』に行ったらコーヒー1杯850円もしましたよ。自家焙煎でおいしいんですけど、デイリーに飲むコーヒーではない。
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