2018.01.18
- SLEEPER
東京快眠指南 Vol.35
by Megumi Kaji
マスクで冬の快眠
冬の寒さが本格化している季節です。風邪やインフルエンザに対してもまだまだ油断はできませんね。その対策として、外出時にマスクをする人は多いと思いますが、風邪を防ぐ意味では寝ている時にこそ着用するべきだとも言われています。睡眠中は唾液の分泌が減少して、ウィルスやほこりがノドの粘膜に取り付きやすく、ノドが痛くなったり炎症を起こしやすくなるのです。この時、鼻呼吸であれば、鼻毛がフィルターの役割にもなってウィルスの侵入をブロックしてくれるのですが、口呼吸になっていると、口の中が乾きがちになり、侵入したウィルスが付着したままになります。就寝時にマスクを着用することで、口の中の乾燥を防いで湿度を保ち、風邪のウィルスの増殖を抑えて風邪の予防効果を発揮すると考えられています。
ところで、睡眠中の鼻呼吸は風邪の防止だけでなく、いびきの防止にも役立つことがわかってきています。多くのいびきは、鼻腔からノド、気管支までの空気の通路(=上気道)が狭くなり、その部分が呼吸によって振動することから起こるものですが、睡眠中、仰向けの姿勢で眠ると、筋肉が弛緩して舌もダラっと気道に落ち込み、気道が狭くなりやすくなります。その状態で口呼吸をするとノドの付近の粘膜が振動していびきが起こります。鼻腔の粘膜が乾いてしまっていると、通る空気の流れが乱れて鼻で呼吸しずらく、口呼吸になりがちだといいます。眠っている間は無意識なので、意識して鼻呼吸を続けることはむずかしいかと思いますが、普段から口を閉じて鼻で呼吸するよう意識したり、睡眠中のマスク着用などによって、鼻腔や口腔内の湿度を保つよう心掛けることも大切です。いずれにしても、ピンポイントな保湿で快眠環境をキープすることで、まだ続く寒さと乾燥の季節を元気に乗り切りましょう。
- 鍛冶恵
- 東京生まれ。1989年ロフテー株式会社入社後、快眠スタジオにて睡眠文化の調査研究業務に従事。1999年睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動後、主任研究員を経て2009年まで同所長。睡眠文化調査研究や睡眠文化フォーラムなどのコーディネーションを行なう。2006年、睡眠改善インストラクター認定。2009年ロフテー株式会社を退社しフリーに。2010年、NPO睡眠文化研究会を立ち上げる。