2018.07.27
- SLEEPER
東京快眠指南 Vol.38
by Megumi Kaji
ショートスリーパーにはなれますか?
自分にとっての必要な睡眠時間は、どのくらいなのでしょうか。睡眠は個人差や加齢変化が影響するので、それを把握するのは簡単なようで難しいかもしれません。睡眠を評価しようとするとき、必ずしも「量(=睡眠時間)」だけではなく、質やリズムもみていく必要があります。ただこの時、睡眠時間がなかなかとれないけれど、代わりに質の高い睡眠をとっているから大丈夫、と考えるのはちょっと危険です。その人にとって必要な睡眠時間は、かならずしも8時間ではありませんが一定量は必要だということが研究で明らかになっています。一般的に、成人の場合毎晩7時間前半の睡眠をまとまりでとっている人が最も健康リスクが低く、長寿であるようです。何時間眠るのがよいのか、睡眠時間は何時間が望ましいのか、あくまでも、個人個人に必要な睡眠時間があり、不足しているかどうかは、日中の活動から判断するのがよさそうです。日中の活動に支障がないか、あるいは、いつでもどこでもすぐに眠れる、というような状態では、睡眠不足の可能性が高いです。
時々、自分はショートスリーパーだから、ショートスリーパーになったから大丈夫、といって毎日4時間前後の睡眠時間で活動している人もいます。ショートスリーパーとは、毎日6時間未満の睡眠時間で、日中支障なく活動できる人たちで、その多くは遺伝的に決められていると考えられています。自分はショートスリーパーだと思っている人の多くは、本来必要な睡眠時間が取れず、あるいはそれを削って活動している状態と言えるでしょう。また、平日は5時間程度で休日は8、9時間という場合も、ショートスリーパーとは言えず睡眠負債が溜まった状態です。睡眠時間は多少は短くすることはできても、訓練や気合いなどでショートスリーパーにはなれないのです。自分に適した睡眠時間を見極めることの方が大切だと思います。
- 鍛冶恵
- 東京生まれ。1989年ロフテー株式会社入社後、快眠スタジオにて睡眠文化の調査研究業務に従事。1999年睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動後、主任研究員を経て2009年まで同所長。睡眠文化調査研究や睡眠文化フォーラムなどのコーディネーションを行なう。2006年、睡眠改善インストラクター認定。2009年ロフテー株式会社を退社しフリーに。2010年、NPO睡眠文化研究会を立ち上げる。