2018.05.10
- SLEEPER
東京快眠指南 Vol.37
by Megumi Kaji
寝ている間のメンテナンス
前号で、体内時計の働きと睡眠習慣の作り方を少しお話ししました。体内時計は何種類かのリズムを刻んでいますが、睡眠や体温のリズムと関わりがあるものに、ホルモンの分泌リズムがあります。3つほどご紹介しましょう。
◆メラトニン
前号で朝の目覚め方をお話しましたが、脳内で分泌されるこのメラトニンというホルモンは、明るい陽の下では分泌が抑制され、夜に分泌が増えます。規則正しい生活を送っていると、寝る1,2時間前から分泌が増え始めます。睡眠のリズムを整えて安定させる働きがあります。ただ、夜でも、寝る前に明るい光の刺激(室内照明だけでなくタブレットなどの明るい画面も)を受けていると分泌が抑えられ、寝つきが悪くなる可能性があります。
◆コルチゾル
メラトニンと逆で、明け方から分泌が増え始め、起きる時にピークが来るホルモンです。起床後の活動に備えて、血糖値の調節に重要な役割を果たしているホルモンですが、身体的ストレスに対して分泌が増えることから「ストレスホルモン」と呼ばれることもあります。寝る前に明日は何時に起きよう!と意識すると目覚ましがなくても起きられる人は、このホルモンが作用していると考えられます。
◆成長ホルモン
身体の成長や組織の修復・回復、脂肪の燃焼などの役割を果たしているホルモンで、大人になってからも分泌されます。一日のうちに最大の分泌があるのは、寝入って最初の深い睡眠段階で、それは時間とは関係はありません。その役割から、肌や美容のために「肌のゴールデンタイム」と成長ホルモンの分泌を関連づけた話が時々聞かれますが、就寝時間帯を過度に意識し過ぎる必要はなく、必要な睡眠時間をできるだけ規則正しく摂るように心がけましょう。
睡眠中は体の中で様々なメンテナンスが行われています。規則正しい睡眠リズムをとることでメンテナンスに必要なホルモンの分泌もきちんと促されます。よりよい眠りのために働いてくれるホルモンについて知ることも快眠生活の一つになるのではないでしょうか。
- 鍛冶恵
- 東京生まれ。1989年ロフテー株式会社入社後、快眠スタジオにて睡眠文化の調査研究業務に従事。1999年睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動後、主任研究員を経て2009年まで同所長。睡眠文化調査研究や睡眠文化フォーラムなどのコーディネーションを行なう。2006年、睡眠改善インストラクター認定。2009年ロフテー株式会社を退社しフリーに。2010年、NPO睡眠文化研究会を立ち上げる。