2017.06.06
- SLEEPER
東京快眠指南 Vol.30
by Megumi Kaji
初夏の快眠指南
初夏になり、急に昼間の気温が上がってきました。熱中症予防情報も毎日のように耳にするようになりましたが、ここ数年は、夜間や家の中でも熱中症は起こるという情報も広く知られ始めてきました。実は、熱中症で亡くなるケースというのは、夕方から早朝にかけてが約4割というデータもあるのです。夏季の高温多湿な寝室では、体の熱がうまく放熱できなくなり、熱中症が起こりやすくなってしまうのです。日中と同様に、睡眠中の熱中症対策がとても重要になってきます。
まずは水分補給です。眠っている間は水分を摂ることができないうえに、熱帯夜にもなると発汗によって睡眠時に失われる水分量は500mlとも言われ、水分が不足し脱水症状となってしまうと考えられています。ベッドに行く前に水を飲んだり、あるいはベッドサイドに水を置いておき、夜中に目が覚めた時や起きた時の水分補給をしやすくしましょう。
水分補給に加えて気をつけたいのが寝室やベッドの中の温湿度です。通気性や吸水性のよい綿や麻の素材の寝具を使うようにしたり、室温は28~29℃を目安に、熱帯夜になったら、適度にエアコンや扇風機を使って睡眠環境を整えましょう。
さらに、家の外にすだれやゴーヤなどのつる性の植物で「緑のカーテン」を設置することで、水分を含んだ植物によって家全体への熱がカットできます。緑のカーテンを今のうちから準備すれば、本格的な夏の熱帯夜がきても快眠できるかもしれません。
そして、毎日の睡眠をきちんととることは、寝ている間の熱中症を防ぐとともに、翌日の熱中症の予防につながります。よりよい睡眠でこれから始まる夏を乗り切りましょう。
- 鍛冶恵
- 東京生まれ。1989年ロフテー株式会社入社後、快眠スタジオにて睡眠文化の調査研究業務に従事。1999年睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動後、主任研究員を経て2009年まで同所長。睡眠文化調査研究や睡眠文化フォーラムなどのコーディネーションを行なう。2006年、睡眠改善インストラクター認定。2009年ロフテー株式会社を退社しフリーに。2010年、NPO睡眠文化研究会を立ち上げる。