2017.04.28
- SLEEPER
東京快眠指南 Vol.29
by Megumi Kaji
眠りを通じてストレスと上手に付き合う方法
春は新生活や新学期で環境が変わりやすく、ストレスを感じやすい季節です。ストレスが溜まりすぎると、安眠が妨げられて睡眠の質が低下しやすくなります。特に、一時的な急性ストレスより慢性的なストレスの方が不眠を長引かせ、抵抗力の低下や気分不良など、体調にも影響を与えやすいと言われています。これは、ストレスによって緊張状態が持続することで、自律神経のひとつである交感神経が刺激され、ホルモンが分泌過多を起こしてしまうことが原因です。本来なら日中の活動のために分泌されるべきホルモンが、夜になっても分泌され続けることで、眠りを妨げてしまうのです。そんな時、しっかり睡眠をとることができれば、ストレスが早く解消することがわかっています。理由は、ノンレム睡眠に不要な記憶を消去する働きがあるため。眠りが、ストレスの素となる記憶や感情を減らす手助けをしてくれるのです。そのためストレスが溜まってくると、体の予防的反応としてやたらと眠くなるという現象が起こります。ストレスには、眠りを妨げると同時に睡眠の要求量を増やすという相反する働きがあるのです。
ストレスの多い生活を続けていると、平日にストレスを溜め込み、ストレスが減る週末には爆睡…といったようなサイクルに陥りやすくなります。これでは、体内時計が乱れる原因となるので、週に何日かは早めに休息を取るなどして、ストレスを軽くするよう心がけましょう。悪者のようなストレスですが、適度なプレッシャーやストレスは、やる気を引き出し、目覚めを促す原動力にもなります。自分の中でプラスに転換できるような、ほどよいストレスは、生活にある種のメリハリを与え、睡眠リズムを整えるのにも効果があると言われています。ストレスを放置せずに見つめ直し、心と体を助ける規則正しい睡眠リズムを手に入れて、気持ちの良い新生活を過ごしましょう。
参考図書:鳥居鎮夫著「体のリズムを生かす安眠術」山海堂、白川修一郎編「睡眠とメンタルヘルス」ゆまに書房
- 鍛冶恵
- 東京生まれ。1989年ロフテー株式会社入社後、快眠スタジオにて睡眠文化の調査研究業務に従事。1999年睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動後、主任研究員を経て2009年まで同所長。睡眠文化調査研究や睡眠文化フォーラムなどのコーディネーションを行なう。2006年、睡眠改善インストラクター認定。2009年ロフテー株式会社を退社しフリーに。2010年、NPO睡眠文化研究会を立ち上げる。