2015.05.23
- SLEEPER
東京快眠指南 Vol.12
by Megumi Kaji
快眠のための適応力を上げよう
爽やかな季節になりました。残念ながらこの時季はあっという間に過ぎ、蒸し暑い梅雨や真夏の熱帯夜に悩まされることになりますが、あと少し 快眠の季節を過ごせそうですね。寝苦しい季節の到来に向けて、今の時季にしておくべき快眠のための工夫があります。それは、昼間できるだけ活動的に過ごし、適度に汗をかく生活を送って体温のメリハリをつけておくということです。
私たちの体温は、一日の間に約1℃の幅で上下していますが、睡眠のリズムを整えることと、体温リズムのメリハリをつけることとは、とても関係が深いのです。睡眠のリズムと体温(=深部体温)リズムは同じサーカディアン(=約一日)リズムで動いていますが、体温が下がるタイミングが眠りやすいタイミングです。もともと体温が高い時間帯(夕方から早い夜)に運動をして体温を上げておくことで、その後はぐっと下がりやすくなります。ジョギングでもよいですし、家までの帰り道、一つ手前で電車やバスを降りて歩く距離を少しだけ延ばすということでもよいでしょう。また、交感神経から副交感神経に切り替える作用によって心身をリラックスさせるために入浴するという方法でも同じ効果があります。
また、寝ている間にコップ一杯分の汗をかくといいますが、発汗は眠りにつく際に集中的に行われます。全身の汗腺から発汗すると、その気化熱で体温が0.5〜1℃下がります。これは発汗することで深部体温をさらに下げ、寝付きやすくするための体の準備なのです。
今の時期は、昼間できるだけ活動的に過ごしたり、適度に汗をかく習慣をつけておくことで、夏の厳しい睡眠環境に適応できる力をつけましょう。
- 鍛冶恵
- 東京生まれ。1989年ロフテー株式会社入社後、快眠スタジオにて睡眠文化の調査研究業務に従事。1999年睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動後、主任研究員を経て2009年まで同所長。睡眠文化調査研究や睡眠文化フォーラムなどのコーディネーションを行なう。2006年、睡眠改善インストラクター認定。2009年ロフテー株式会社を退社しフリーに。2010年、NPO睡眠文化研究会を立ち上げる。