2014.01.05
- SLEEPER
東京快眠指南 Vol.08
by Megumi Kaji
新たな眠りの目覚めを求めて
新しい年が始まりました。
2014年のノーベル物理学賞が、青色LEDの開発に関わった3人の日本人研究者に贈られましたが、睡眠にもかかわりのある「光・通信」に関する技術は大きく進化してきました。住宅内に蛍光灯が普及し始めて約60年、インターネットで24時間社会になって20年足らずです。それより遥かに長い人類の進化の歴史の中で、この急速な社会環境の変化、技術革新によって私たちの眠りと目覚めはどのような影響を受けてきたのでしょうか。
かつて人類は、獲物を仕留めたり、野生の果実などを食糧とする「狩猟採集」という生業形態から、「牧畜社会」や「農耕社会」から「工業社会」、そして「情報化社会」と多様化してきました。日本では、日の出と共に起きて働き、働いただけ生産性が上がる「農耕社会」でした。情報化社会となって、OA化、グローバル化社会など、働く環境、働き方も変化しました。それによって、疲れの質も肉体疲労から頭脳疲労へと変化してきているようです。これまでのような、まとめて働いてまとめて休むという方法から、小まめにブレイクをとって休む方法などの疲労予防や回復法も新たに考える必要がありそうです。
今、眠りの悩みの多くが、「眠りたいのにスムーズに寝付けない」、「起きたいのにぱっと起きられない」ということですが、これを解決するために様々な快眠法や快眠グッズが注目されて、中には都市伝説となっているものもあります。
眠りは個人の生理的活動である一方、昼間の社会生活とセットになっています。社会の多様化のなかで、よりよいメソッドを模索していかなくてはなりません。そのためには、もう一度、昼行性の動物としてのヒトの眠りのしくみを知り、そのうえでこれからの眠りを考えるべきではないでしょうか。
- 鍛冶恵
- 東京生まれ。1989年ロフテー株式会社入社後、快眠スタジオにて睡眠文化の調査研究業務に従事。1999年睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動後、主任研究員を経て2009年まで同所長。睡眠文化調査研究や睡眠文化フォーラムなどのコーディネーションを行なう。2006年、睡眠改善インストラクター認定。2009年ロフテー株式会社を退社しフリーに。2010年、NPO睡眠文化研究会を立ち上げる。