2014.09.22
- Cafe Culture
東京カフェカルチャー Vol.01
サードウェーブコーヒーと東京の喫茶店文化
サードウェーブコーヒーという流れが東京にもやってくるというのだ。サンフランシスコあたりの西海岸発祥の、ちょっと凝ったコーヒーというと簡単すぎるか。
あちこちで書かれているから、詳細は省略するけれど、1杯づつドリップされ、豆は原則ストレートで産地トレーサビリティにこだわるとか…。
ちょっとヌケ感のあるインテリアで、「KINFOLK」が好きそうな黒縁眼鏡な男子が丁寧にドリップしてくれるというイメージ。ゆるっとした感じが気分だよね、とか。ま、いろいろな人が指摘しているし、サードウェーブコーヒーの雄、「ブル−ボトルコーヒー」の代表もいっているように、根は日本の喫茶店文化にあるということだ。
そもそも(昭和の)日本の喫茶店は、注文を受けて1杯づつドリップかサイフォンでコーヒーを抽出するというのが習わしだった。
ちょっと渋めの親父が本日のコーヒーというストレートコーヒーをオススメしたり、「カフェラミル」や「珈琲館」などのヨーロッパテイストの重めの内装が、箔を付けていたような。それが、アメリカン的な薄めのコーヒーをがぶ飲みするという、いわゆる現地アメリカのファーストウェーブコーヒーが導入されたり、コーヒーメーカーで大量に淹れたコーヒーをおかわり自由なファミレスが現れたりと、群雄割拠な状態になったのが昭和の終わり。そこに黒船として登場したのがいわゆるシアトル系コーヒーハウスだった。そのちょっと前1980年代には「ドトールコーヒー」がそれまでの喫茶店文化をかすかに受け継ぎながらチェーンとして展開はしていたものの、根本的に違うのが、シアトル系はエスプレッソをベースにしていたということ。新しかったですね、とにかく。カフェラテとカフェオレの区別が分からない人が続出していたくらい。
これが日米ともにセカンドウェーブだったわけです。と考えると、今回、逆輸入的に入ってきたサードウェーブコーヒーは、日本的ファーストウェーブ・リターンズに限りなく近いとも言える。ただ大きな違いは、その量にあると思う。
さすがにアメリカ経由だけに、喫茶店(親父系)コーヒーが大体120cc(Maxで150cc)だったのに、サードウェーブ系は180から200ccと多め。コーヒーの粉は1杯約10gが基本だから、ちょい薄めに淹れられてるわけだ。意外に、この量の問題は大きいような気がする。いわゆる喫茶店で使われるコーヒーカップ(一般家庭でも大体同じだと思うが)は120〜150ccを基準にしている。200ccだと、がぶ飲み感が否めない。店のインテリアが、やや開放的なサードウェーブに対して、日本古来の喫茶店文化はちょっと閉鎖的で落ち着き重視。テイクアウトなんてそもそも考えていない。コーヒーは喫茶店で飲むべきものであるとの大和魂に溢れている。
とまあ、色々書いてきたんだが、実はコーヒーの楽しみ方のベースにあるゆっくりとした時間、香りと味を楽しむことは語源にもなっている“喫茶去”という禅宗のフレーズにも共通していると思う。実に味わい深い語源だな、と(ちなみに喫はタバコとは無関係)。
サードウェーブコーヒーは「スターバックスコーヒー」を筆頭とするシアトル系エスプレッソ系同様に、日本に根付くのか、それとも一過性か。TOKYOWISEとしてはちょっと意地悪く見守りたいと思う(がんばれ、東京の老舗喫茶店!)。