2015.03.18
- SLEEPER
東京快眠指南 Vol.10
by Megumi Kaji
夢は見るもの?もらうもの?叶えるもの?
睡眠中に起こる現象の一つとして今なお研究が進んでいる「夢」。“夢は見ません”と言う方も、実は覚えていないだけで、人の脳内では一晩の間に3~4本立てくらいの夢が上映されているようです。この夢のしくみ、現代の私たちは脳で起こっていることだと考えていますが、古代や中世の日本では、夢は神仏や魔物からの「メッセージ」として外部からもたらされるものと考えられていました。さらには、自分が見た夢は自分に届いたメッセージではないこともあれば、見た夢を売買することも行われていたそうです。
夢が個人に属するのではなくて、自分の周りの共同体全体で管理したり対応したりすることのほうが自然だったようですが、なんとなく、今日のクラウドサーバーに蓄えられたデータをダウンロードでもするように、むしろ現代の感覚ですっと理解できそうです。江戸時代に入ると、夢に対する考え方にも変化が現れ、「夢を見るのは五蔵の煩い」などと言われ身体のことと関連づけて考えるようになったようです。
そして、現代、新聞メディアで「夢」の記事を検索すると、睡眠中に見る夢より何倍もヒットするのが「将来実現したいこと」という意味の「夢」、Dreams come trueの方ですが、日本が近代社会になるにつれて夢の持つ意味も変わってきたのです。
- 鍛冶恵
- 東京生まれ。1989年ロフテー株式会社入社後、快眠スタジオにて睡眠文化の調査研究業務に従事。1999年睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動後、主任研究員を経て2009年まで同所長。睡眠文化調査研究や睡眠文化フォーラムなどのコーディネーションを行なう。2006年、睡眠改善インストラクター認定。2009年ロフテー株式会社を退社しフリーに。2010年、NPO睡眠文化研究会を立ち上げる。
>profile