2014.06.20
- SLEEPER
東京快眠指南 Vol.02
by Megumi Kaji
眠りの準備
忙しい日常生活を送るうえで、さまざまなことが合理的にサクサクとこなせたり、ショートカットできる世の中は便利だと実感することの方が多いですが、そのなかで、「眠り」というのは、眠りたい時にショートカットで眠れない、むしろ寝てはいけない時に眠たくなってしまったり、自分の思い通りにコントロールできない行為です。それは、眠りの仕組みの一つが、体内時計のリズムによって繰り返されていて、眠たくならないと眠れないということにあります。つまり、このリズムに沿って、体(特に脳)や心が休息する準備をする必要があるということです。眠くなるような準備をすることが快眠につながります。
私たちは昼間、目を酷使しがちです。まずリラックスして眠りの準備をするには、視覚刺激を徐々に遠ざけるようにしましょう。音楽を聴くのはおすすめです。好きな音楽でよいのですが、できれば、淡々とした、ゆったりしたテンポの、展開のあまり激しくないインストゥルメンタルなどがよいでしょう。
快眠のための音楽も最近ではいろいろ出されていますが、すでに江戸時代に、病気治療の観点から睡眠と音の関係に着目し、安眠できる装置を考え出した人がいます。江戸時代後期の医師で、水を張った小さい桶に水をたらし、その音を病人に数えさせると良いと本に書いています。水音に耳を澄ますことによって心配事が消え、心穏やかに眠ることができ、結果病気の回復にも効果的というわけです。
- 鍛冶恵
- 東京生まれ。1989年ロフテー株式会社入社後、快眠スタジオにて睡眠文化の調査研究業務に従事。1999年睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動後、主任研究員を経て2009年まで同所長。睡眠文化調査研究や睡眠文化フォーラムなどのコーディネーションを行なう。2006年、睡眠改善インストラクター認定。2009年ロフテー株式会社を退社しフリーに。2010年、NPO睡眠文化研究会を立ち上げる。