2016.09.14
TOKYOWISEでは、企画を挙げた担当編集者やライターが各自取材に行くのが基本スタイルだが、魔酒の飲みくらべなど、内容によっては編集部メンバーに協力を募る場合もある。いつの日も皆、驚くほど協力的だったから、この企画もはなっから“同行”という名の協力をお願いするつもりでいた。
しかし、今回だけは違った。「最恐心霊スポット、一緒に行ってみませんか?」―努めて明るい声で投げかけてみたが、壊滅的なノーサンキューの嵐。そのあげく「行方不明とかイヤですよぉ。ちゃんと帰ってきてくださいね。ファイト!」と、1ミリも喜べないエールまで送られてしまった。
同行者を探しているうちに夏が終わってしまう。もう一人で行くしかない。捨て鉢になりかけていた時、「イイっすよ!」と涼しい顔で即答してくれた救世主・カメラマンN氏。同氏と共に巡り歩いた残暑お見舞い「TOKYOWISE的心霊スポットツアー」をお届けしたい。
※最恐度=カメラマンN氏と私の独断と偏見による「体感恐怖度」の総合点を100点中で表したもの。
15:30
東京オペラシティ @初台
最恐度 74/100
ドブネズミ色の空に生気を吸い取られそうな午後、私たちが向かったのは、初台の「東京オペラシティ」。甲州街道と山手通りがぶつかる初台交差点に建つ54階建ての高層ビルは、オフィス、コンサートホールなどが入った複合施設として知られているが、建設前は、13年もの間、廃墟と化した東京工業試験場があった場所である。
取り壊しが理由なのか真相は不明だが、このビルの建設中、何人もの人がケガを負い、残念なことに命を落とした人もいる。ここに入居した会社は、軒並み売り上げが落ちるなど何かと曰くつき。
週末ならもっと人がいてもいいはずなのに、全体的に閑散とした雰囲気で、とりわけ不気味だったのは、地下一階の中央広場「サンクンガーデン」にある巨人のモニュメント。“Singing Man(歌う男)”という名が付けられているが、作った方には申し訳ない。私の目には、しゃくれアゴで泣き叫ぶカクカクした物体にしか見えなかった。
加えて不気味だったのは、半音トーンを下げた“アンパンマンのマーチ”を奏でるストリートパフォーマーの姿。侘びしい音色は素晴らしかったが、石段にポツンと座って聞き入る小さな男の子の姿も、なんだか浮世離れしていて鳥肌が立った。訳もなく泣きたい気持ちと静かな恐怖がジワジワ襲ってくる空間だ。
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