2016/09/15
近年、日本カルチャーへの注目度は高く、オリジナリティ溢れるファッションやポップカルチャーはもちろんのこと、食や伝統工芸、着物といった“和の心”を重んじる傾向にある。特にこの時期は、花火大会や祭りなどで見かける浴衣姿に和心や風情を感じる機会も多い。今は、気軽に着用できるとあって量販タイプの浴衣やリサイクル着物といった和装スタイルが10~20代の若者にも人気の様子。
そこで今回は、洋服とは異なる和装独特の着こなしや工夫を知って、より洗練されたスタイルを目指すべく、“きもの番長”ことイラストレーター・松田恵美さんのインタビューとともに他と差がつく和装スタイルのポイントをご紹介したいと思います。
ご自身の装いはもちろん、松田さんが描く着物姿の女性のイラストは、こだわりとお洒落感に満ち溢れている。これまでに、著書の『きもの番長2コーディネイトレッスン編』(祥伝社)などを発売しており、写真では表現できない魅力的なイラストの数々、ほっこりする漫画やコラムといった内容が多くの女性を虜にしている。「私は、好きなもの追求している“オタク”なんです(笑)」と話す松田さんが和装に魅了された理由は何なのだろう?
松田恵美さん(以下松田、敬称略):「小さい頃、親に連れられてデパートの催しの展示会へよく行っていて、小学校4年生の時に一人で写楽展にも行きました。その時、古典柄(大きな柄)や格好いい着物を目にして興味を持ちました。元々、絵を描くことが好きだったので浮世絵をはじめ、平面に描かれている着物の絵柄に魅了されて、そこからどんどんハマっていきました」
その後、探究心の元、着物の文化についても多く学んだという松田さんに、東京の昔・江戸の装いの慣習について聞いてみた。
松田:「江戸時代は階級の違いから、庶民は派手な着物が着れないこともあって裏地にこったものを選んだり、帯の結び方を変えたりと様々な工夫をしていたと言われています。後に、庶民階級が発達して多彩な着物文化が生み出されたとも伝えられています。また、浴衣は湯上がりの肌着であったものが、時代共に素材も変わり、デザイン性も高くなりました」
<今も昔も変わらない手軽な浴衣の魅力について>
江戸時代に貴族や武士(つまり上流階級)と庶民の装いに違いがあったように、今でも着物は色々な物を用意しなきゃいけないし着付けも難しい印象がある。となると、和装の第一歩は浴衣にあるのではないか。
松田:「浴衣の良いところは、アイテムも少ないので、金銭的にも無理なく楽しめる点だと思います。今は、帯や下駄もセットになっていたり柄も豊富なので、気負いせずに小物の工夫次第で変化と個性が出せるところも魅力だと思います。着物を始める入り口にもオススメです」
ーただ、セットや量販タイプのものは他人とお揃いになってしまうリスクもありますよね? 他と差をつけるポイントやアレンジ方法などがあれば教えて下さい!
松田:「浴衣はとてもシンプルな着衣なので、色柄や小物選びのセンス次第でコーディネイトの幅が広がると思います。洋服のようにトレンドの有無や表現しにくいところもあるので、ちょっとした工夫でお洒落感を演出することもできますよ」
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