2015.09.20
Vol.06
歌舞伎町のシザーハンズたち
どうにもひどいジャズボーカル
聴きながら
カクテル飲んで周りを見れば
とりあえず俺が いちばん若い
財布の中身を持っている
パークハイアットのラウンジ経由
ゴールデン街行き 夜の新宿ツアー
アメリカの友達と
来日中の映画監督も加わって
ちいさな店々をハシゴ
長屋で光る黒いカード
「キャバレークラブが見たい」
という監督連れて 飛び込んだ店は
銀色の髪と 七色のメイク
「シザーハンズ」ばりのネイルをたくわえた
モンスター系のお店
真面目なドキュメンタリーを作っている
彼の映画に
君たちが いつの日か 主演で登場
なんてことが あるかもね
かわいいモンスターたち
なんて話していたあの日から
あっという間に5年が過ぎた
あの不思議な夜
かわいいモンスターたち
変わらないで
ずっとそのまま あの街の
夜を削って むらさきの爪
「歌舞伎町のシザーハンズたち」
詩人。2011年、アメリカの出版社PRE/POSTより詩集『裸でベランダ/ウサギと女たち』をリリースし逆輸入デビュー。菅原敏の「詩集」と現代美術家・伊藤存の「刺繍」により実現したアートな一冊として各方面で話題を呼ぶ。 スターバックスやナイキ、BEAMSなど異業種とのコラボレーション、クラウドファンディングによるラジオ番組枠の買収、デパートの館内放送ジャック、新聞・雑誌へのエッセイの寄稿や講演、メディアプロジェクト「詩人天気予報」、Superflyの5thアルバム「WHITE」での作詞など、その活動の場を広げている。
現在はBS11「すずらん本屋堂」(東京古本散歩)でナレーションを担当。いにしえの恋愛詩を菅原敏の言葉で超訳する「新訳 世界恋愛詩集」をCAKES(ケイクス)にて連載中。
【twitter】https://twitter.com/sugawara_bin
【連載】 『新訳 世界恋愛詩集』https://cakes.mu/series/3194