2015.03.23
Vol.01
円山町の狙撃手
ゾンビのような ふたりがふらふら
夏の朝 神泉の駅を目指す
心地良く疲れた身体 引きづりつつも
帰らなきゃならない
手をつなぐ2人の 後頭部にピシリと
BB弾で 狙撃してくる やつがいる
小さく窓を開けて 愛を交わした
朝帰りの恋人たちを 無差別で狙う
ライフルの銃口
足早に電柱の陰 鳴いてるカラス
破れたごみ袋と 鼻を突くにおい
太陽の明るさが 世界を白く見せ
そうだ ここは そういう場所だ
もしも円山町に行くのなら
ゾンビ退治のスナイパーに
気をつけてね
「円山町の狙撃手」
詩人。2011年、アメリカの出版社PRE/POSTより詩集『裸でベランダ/ウサギと女たち』をリリースし逆輸入デビュー。菅原敏の「詩集」と現代美術家・伊藤存の「刺繍」により実現したアートな一冊として各方面で話題を呼ぶ。 スターバックスやナイキ、BEAMSなど異業種とのコラボレーション、クラウドファンディングによるラジオ番組枠の買収、デパートの館内放送ジャック、新聞・雑誌へのエッセイの寄稿や講演、メディアプロジェクト「詩人天気予報」、Superflyの5thアルバム「WHITE」での作詞など、その活動の場を広げている。
現在はBS11「すずらん本屋堂」(東京古本散歩)でナレーションを担当。いにしえの恋愛詩を菅原敏の言葉で超訳する「新訳 世界恋愛詩集」をCAKES(ケイクス)にて連載中。
【twitter】https://twitter.com/sugawara_bin
【連載】 『新訳 世界恋愛詩集』https://cakes.mu/series/3194