The ABC\

2016.10.03

The ABC\’s of International Marriage
ベビー誕生で本領発揮

主体としてのパパ誕生

妊娠したと打ち明けた時、大喜びしてくれた夫。日本人だと、喜びと共に言い知れぬ不安に包まれることが多いのかもしれない。日本人は慎重過ぎて、諸手を挙げて喜ぶということがそんなに多くないことに気付いた。

夫は妊婦健診にも必ず毎回帯同すると言い、毎夜お腹の中の赤ちゃんに話し掛け、予定日が近づくにつれソワソワが増していった。勿論絶対出産には立ち合いたがったし、産後の入院中も勿論毎日通ってベビーをかわいがり、妻を愛する。退院後も、ベビーをお風呂に入れたいがために最初の一カ月は18時に帰宅し、保育園に通園するようになっても、保護者会にも率先して出席。勿論他の出席者は全てお母さんで、園長先生も語りかける時「お母さまたち」と称していたことに憤慨。「僕はお父さんです」と。そんなイクメンぶりを発揮しまくった彼の本国フィンランドでは、イクメンという言葉が無い。それが、当たり前だから。

そんなパパの積極的主体的育児に助けられる一方、児童館などで友達になった日本人夫婦の話を聞いて驚愕。平日の帰宅は深夜前後。貴重な週末はなんと、趣味のフットサルに出掛けてしまい、ほぼ母子家庭とのこと。

確かに、子供が出来たからといって、男性は働く量を減らすことがなかなか難しい。勿論、育休世代な我々の友達のパパには育休を取得するパパがチラホラ出てきているとはいえ。日本の勤勉な働き方や個としての楽しみがあまりにも尊重された結果、家族で過ごす楽しみを軽視されてしまっている現状なのかと、国際結婚と日本人同士の結婚において、もっとも価値観の違いが浮き彫りになった。

子供喧嘩した時の対処法での気付き

2歳と1歳の年子の娘達を抱えると、やはり子供同士の喧嘩が絶えない。特に同じ玩具の取り合いが甚だしい。先日もクレヨンと画用紙を渡してのお絵描きタイムに入り、5分もしない内から「ギャーー!」と二人の悲鳴が!クレヨンの箱をシェアさせたのだが、次から次に出して散らかす次女と、クレヨンのオレンジ色を巡って闘いが起こっている。いやいや、12色もあるし。ため息が止まらない。こんなことで揉めるなら、クレヨンなんて買ってこなきゃ良かった。もう隠そうかな~と思う私の脇を通り過ぎる人がいた。夫はさささっと二人の元へ駆け寄り、モニョモニョ何やら話してその場を離れると、驚くことに娘二人は何事も無かったかのように仲良く礼儀正しく、お絵描きを再開したのだ!「ええっ?どんな魔法使ったの?」と驚いて尋ねたら、夫は「ただ、クレヨンは一本ずつ出して使って、また箱にしまって別の色を取ろうね」と話しただけだという!

確かに、子供に「NO!」と言わない育児、頭ごなしに「ダメ!」と言わない育児に賛成で、自分でも出来るだけ子供を尊重して説明しているつもりではいたけれど、自分はまだまだだと思い知らされる出来事であった。やはり私が勝手に1歳の娘が説明しても理解しないだろうと頭から決めつけて、説明するのを放棄しその問題が発生するものを排除しようとしたという事実を目の当たりにして、自分の至らなさを実感出来た。

子どもの権利に気付かされる

日本で離婚になった場合、子供はお母さんが引き取るケースが多い。私の友達でもお母さん一人に育てられ、お父さんとは会ってないというケースが多い。確かに、離婚に至ったということで、子供に会わせる気は無いという判断も頷ける。

しかし、そこに夫は声を大にして異論を唱える。子供はそもそも両親に会う権利を有しており、どのような親でも子供は会うべきだというのだ。夫も両親は3歳の時に離婚しており、母親と暮らしたものの、父親とも頻繁かつ定期的に会っていたとのこと(夫のパパは先日75歳で三度目の結婚をしたくらい奔放なアーティストなわけだが)。本人がそう言うなら、やはり子供にとって離婚後も親に会う権利は有するべきだと思い始めた。そして、初めて知ったのは、国際結婚において、日本人妻の子供連れ去りが国際問題となっているらしい。欧米では離婚後も両親に会う権利を子供は有しているという考え方に対し、日本人では理想はそうだけれど、父親に会わせる気は無いと、海外で離婚した場合帰国の際に子供を一緒に連れ帰って、二度と会わせないことが多いというのだ。

また、離婚の場合支払われる養育費を取り決められるが、実際に支払われているのは2割に満たないという事実に驚きを隠せない。フィンランドやドイツなどのヨーロッパ諸国では、そのようなことが無いよう養育費を給与天引きする制度もあるとのこと。

そのような話を聞いていると、日本という国はそのような子供の権利が非常に軽視されていることが浮き彫りになる。日本の社会の中にいれば、当たり前だと思っていることも、国際社会での違う視点を持てることで、より考えが深まることもあると感じる今日この頃。

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