本当に美味しいコーヒーとはなんだろう【東京カフェカルチャー Vol.15】 - Cafe Culture

2017.06.20

Cafe Culture

Vol.15
本当に美味しいコーヒーとはなんだろう。

ブルーボトルコーヒーを始め、日本産も含め所謂サードウェーブ・コーヒーもすっかりと常態化した感がある今日この頃。そもそも美味しいコーヒーってなんだろうと、考えるようになった。この連載でも日本最古のコーヒー店に行ったり、スターバックスの新しい取り組みを紹介して来た。が、美味しいコーヒーとは何ぞやをちょいと深く考えてみたい。

そもそも日本の喫茶店の主流はマスターがサイフォンかドリップで一杯づつ丁寧に淹れる。そんなスタイルが主流だった（少なくとも筆者の若かりし頃はw）。約140ccほどの濃厚なコーヒーは今から比べるとかなり濃く、量も少ない。
スターバックスを始め、アメリカ発祥のコーヒー文化が日本に導入されると、その量も200ccを超え、それに連れて飲みやすさも考えてそれほど濃くなくなって来ている。

そういったボリュームのこととは別に、豆に関しても時代とともに変わりつつある。かつてはブラジル、ガテマラ、モカなどなどほぼほぼ産地のみの表示だったものが、最近ではそれぞれの農園や作り手まで表記されることも多く、よりコーヒー豆の個性を楽しめるようになっている。シングルオリジンと呼ばれることの多いこの手のコーヒー豆は、まるでワインの味わいの表現のように「シトラスが香り、深いところでチョコレート感があって…」云々かんぬん。コーヒー豆の個性は驚くほど多彩だったことを知ったのだ。
淹れ方にしても、ドリップとサイフォン、家でならコーヒーメーカーとこだわるわりにはバリエーションがなかったのが、コーヒープレスやさらにはナイトロコールドブリューという窒素を使った水出しコーヒーまで登場と、百花繚乱。

そんな多彩なコーヒーの淹れ方で、世界中から集めたスペシャルなシングルオリジンコーヒーをゆっくり楽しめる最新型のスターバックスが、六本木ミッドタウンにオープンしたというので早々に出かけてみた。

そこは、特別感満載のスターバックスだった

１階のスターバックスは通常店舗の様相だが、その奥の階段を上がると、そこには特別なスターバックスの世界が待ち受けていた。スターバックスリザーブ® バーと名付けられた全長15mものカウンター！サードプレイスを自認するスターバックスの店舗デザインの中でも、ここまで大胆なインテリアは初めて見た気がする。

そして、そこにいるバリスタたちはブラックエプロンなのはもちろん、その胸には燦然と星がいくつも連なっているではないか。それはまさに名人級のバリスタということだ。スターバックスのバリスタの凄さは、コーヒーを淹れることだけではなく、個人の好みやその日の気分に合わせたコーヒーを選ぶことができるというコミュニケーション能力の高さにも現れる。
例えば、今日はちょっと暑いな、でもアイスコーヒーではなくホットでゆっくりしたいというようなわがままも、それならこのコーヒーでどうでしょうか？その理由は「かくかくしかじか」でとよどみなく答えてくれる。その豆にしてもどういう方法で抽出するとどう違うのかまで、丁寧に教えてくれるのだ。

バリスタ＝コーヒーを淹れるのが上手い、だけではブラックエプロンは務まらないのだね。かくして、このスターバックスリザーブ®店＠六本木ミッドタウンは、自分にとってもただ美味しいコーヒーが飲めるというだけではない付加価値（お勉強になる！）があったのだ。

夏向きスペシャルコーヒーを楽しんだ！

この店で堪能したのは、バリスタさんのオススメの数々（六本木ミッドタウン店限定！）。まずは“エスプレッソトニック”。
これには程よい酸味が効いているケニヤがオススメとのこと。トニックウォーターの上からエスプレッソを入れるという新感覚のドリンクは、ジメジメした季節にぴったりじゃないですか。微炭酸の爽やかさとほろ苦さのマッチングは絶賛に値するし、これは夏の定番化間違いなしだ。

大人のデザート的にも楽しめる新メニューとしては、“アイスフォームマキアート”もいいだろう。
しっかりとフォームしたミルクにエスプレッソを注ぐと見事に2トーンの涼しげなドリンクが完成する。ムースのようなフォームミルクの下から現れるしっかりとしたエスプレッソの旨味が絶妙だ。

そして、自分的に最高得点は、“コーヒースティープビール”だ。
通常のビールと同様ビールサーバーから注がれるのだが、途中コーヒー豆のボトルを通過しているため、コーヒーの香りのついたビールとなっている。華やかな味わいのアルトビールとコーヒーの出会いというか、これは夕暮れ時の六本木を眺めながら楽しむには最高のドリンクだ。

純粋にコーヒーを楽しむのも（様々な淹れ方や、多彩なコーヒー豆やら）、限定の新メニューに挑戦するも、バリスタとの会話を楽しむも、全てが特別なここは、コーヒー好きの聖地になるやもしれないな、と思いつつ長居をしてしまうのだった。