2017.06.16
- 東京銀座六丁目~Kazuquoママのカウンター越しの社会学~
結婚は本当にゴールなの?!
女性の40代〜50代。
あたしは、この年齢帯を『最もラグジュアリーな季節』と呼んでいるの。仕事も仕切れるようになり、休暇も取りやすく、自分が遊ぶくらいの金銭的余裕もある。まっ、彼氏なんかもいたりして、「ようやく、あたしの人生も起動にのったわ!」と胸も張りたくなる。そんなラグジュアリーな季節を生きる女子たちの心を侵食する願望・・・それはやはり結婚。
銀座ルームにやってくるある独身女子は悩みます・・・。
「かずこママ、
私の彼、愛してるとか大好きだよ〜とはいつでも言ってくれるけど、結婚しようとは言ってくれないのよ・・・
どうしてかなあ」
彼女はバリバリ活躍する現代女子ですが、やはり、女子という生き物はプロポーズされることを夢見ているようなの。テレビや映画の数百年前から続く、世界共通のお決まりのお作法。
殿方がひざまづいて
「僕と結婚してください!」
と指輪を差し出す。
そうすると
「はい。おばあちゃんになってもずっと仲良くしてください」
的な〜。
こんな風に男子の求愛に対し女子が許可をするというパターンが頭に焼き付いているのね・・・。こんな状況を手に入れたいがために、とにかく殿方のアクションをずっと待っているから、その殿方に結婚する気があるのかどうかをきっぱりと確認できないでいるの。どうしても自分から結婚してくださいとは言いたくないようね。まっ、この女子のような空気感のときは、ほぼ100%殿方に結婚する気はないと思っていて、私は彼女にけしかけるの。
「○○ちゃん、1日も早く確認したほうがいいわ。
あなたの人生のロウソクが溶けてなくなっちゃう前に。」
「確認するって言われても・・・」
「結婚したいんでしょ!
捨て身の行動に出て、白黒はっきりさせましょうよ。
時代は変わったのよ〜。」
結婚が恋愛のゴールだと思っている女子には、辛い現実かもしれませんね。
ただ「最もラグジュアリーな季節」を満喫しているのは、独身女子だけではないわ。既婚女子も同様なの。子育ても一段落し時間的余裕も出てきて、旦那とはセックスしないけど、影ではこっそり危険な情事に勤しむ・・・なんてことも。でもね、40代後半ともなると、やはりあらたな戸惑いが芽生えてくることも・・・。それは「離婚」。
子供が成人し自分で稼ぐようになると、あたし一人分食べて行くくらいは稼げる。仲良しのお友達もたくさんいるから楽しい人生。なんて条件を整理していくと、そう!旦那と一緒にいる理由がまったくないのよ。
かつて昔、この世代の女子が結婚する理由は二つあったの。ひとつは『経済的な理由』。もうひとつは『社会的ステータス』。○○商事にお務めの旦那さんの奥様〜みたいな感じで、旦那のポジションや肩書きを自分のステータスに利用して奥様同士のヒエラルキーを築いていたのよ。
しかし、大企業のリストラ、旦那の出世限界を認識、前ほど社会的ステータスが活用できなくなってきた現在、はるか遠くに感じていた定年の日も身近になり、日に日に憂鬱さが増してくる。この男と生涯ともに過ごさなければならないのかと・・。
銀座ルームに時たま現れる既婚女子。銀座ルームで出会う元気な独身女子との戯れが、このラグジュアリーな季節を謳歌する既婚女子たちの離婚願望を熱くさせてしまうのも事実。この楽しい群れの中で一緒に生きて行きたい!という思考に目覚めてしまうの・・。既婚女子代表の某有名大学病院の看護婦長の場合。
「かずこママ、想像できる?
家に帰ると、定年した旦那が、家事をやるわけでもなく、毎日同じソファーに座って、テレビか新聞を観ている。そんな光景が毎日なのよ。
『何か好きな事でもしたら?』とか、『自分で食べたいもの買って食べてて』と言っても何もしない。あたしがごはんを作るの待ってるの!ご飯食べるときに、楽しい会話があるわけでもなく。
あるとき、『こんな状態じゃ、一緒に暮らす意味もないわよね。退職金も年金もいらないから、お互い自由に生きるってどうかしら』と離婚を示唆してみたら『俺が何悪い事をしたっていうんだ!浮気をするわけでもなく、おまえに暴力ふるうわけでもない。』ってマジ切れするのよ。
『旦那が悪い事したとかそういうことじゃないのよ。ただ、一緒に暮らしたくないだけなのよ・・・。」
ラグジュアリーな季節の戸惑い
もちろん幸せな結婚生活もあれば、充実した独身生活もあるわ。ただ、今一度、この機会にもっと柔軟に「結婚」と「恋愛」をきちんと分けて考えてみてはどうかしら。銀座ルームのカウンター越しに見る男女に限ったことかもしれないけれど、
独身男子は、やはり結婚となると「女性は若く美しく、家事を完璧にこなし、自分の親ともうまくやってくれる。」要するに割烹着を着た綾瀬はるかか石原さとみを求めていて、
独身女子は、ひざまづいて指輪を差し出しプロポーズしてくれるような白馬に乗った王子様にさらわれたいと思っている。
こんな男女が、永遠に交差することのない道の上を互いに歩いているように見えてならないのは、あたしの気のせいかしら・・・。
人は日々成長し、変化します。そのときの自分に合った人がいるはず。結婚して、親になって一人前という古の社会習慣に執着しないで、シングルマザー、事実婚、DINKS、シルバー恋愛、里親、養子縁組、同性恋愛などなど、自由な関係から生まれる新たな社会習慣を構築するというのも意義のあることじゃないかしら。必ず古き婚姻関係があなたの人生にフィットするとは限らないのよ。なんて思う今日この頃です。
かずこママ (Kazuquo)
栃木県宇都宮市出身。大学卒業後、自治医科大学付属病院にてリハビリテーション医療に携わったのち、
福祉住環境開発のために、住宅メーカーへ転職。その後独立し、PR会社、VIPトラベル専門の旅行会社「コスモクラーツトラベル」などを経営しながら銀座の会員制バー「銀座ルーム」のママとして日々、銀座のカウンター越しに社会情勢を見守っている。
子どもの頃から“普通”からはみ出ていた少年が、学校でのいじめや“母の壁”を乗り越え、
人との出会いに導かれていくうちに、母のために、銀座でバーを開くことに!
噂の会員制バー“銀座ルーム”のかずこママが綴る、痛快饒舌自伝エッセイ。
「東京銀座六丁目 僕と母さんの餃子狂詩曲」
かずこ (著)
集英社クリエイティブ (2017/6/5)
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