2015.08.03
- compass for
街並みから几帳面さがにじみ出るドイツへ
混沌のインド、穏かな空気が流れるトルコを経てドイツに辿り着いた。
東京から直接来ていればまた違ったと思うが、久しぶりの都会、しかもドイツの洗練された空気に思わず面食らってしまう。空港からゲストハウスに着くまでの間、完全に借りてきた猫状態である。
特にベルリンで多く見られる、アールデコやバウハウスを源流とした隙のない近代建築群とタイポグラフィからは「合理的」「機能的」なドイツっぽさを見てとれる。ちょっとした写真を撮るにも、煽りや俯瞰ではなく水平垂直真正面の正体で撮りなさい!と言われている気すらしてしまう。(気さくで穏かなドイツ人はそんなことは言わない)
几帳面な性質は日本も通ずるところがあるが、日本だと「ここはまっすぐだと思うんですけど…」というところも、ドイツの場合「ここはまっすぐです!」というような「正しさ」を主張する強さを感じる。あくまで人ではなく街並から受ける印象の話。
ドイツの都市計画は日本に多い成り行きで形成された街ではなく、住みよい環境にするために住民の意見を取り入れながら機能的に作り上げられているというので納得する。ドイツの美しい街並には住民の意思がある。
空港からゲストハウスに着いて、借りてきた猫状態をほどいてくれたのは予想以上に気さくでフレンドリーなドイツ人だった。1分の狂いも認めてくれなそうな街の雰囲気に怯えていたが、美術館の係員やゲストハウスのスタッフは日本語で「ヨウコソー!」と迎えてくれて拍子抜けする。
ある人が、ドイツ人が親切なのは合理的だからだよと言っていた。色々と問いたくなる言葉だが、合理的な親切というのはある意味潔くて気持ちいい。
いつもなら冷たく響く「合理的」「機能的」という言葉も、ドイツでは人の意思が込められた体温のある響きに感じられるからかもしれない。
Yuko Ohba
seitaro design, inc./グラフィックデザイナー
TOKYOWISEのサイトデザイン、記事のグラフィックを担当するデザイナーの1人。3ヶ月間休職をし、世界各国を周遊してきた。
Instagram:@ohbayuko