2018.11.05
- beauty
美容師が作った「セカンドシャンプー」って……何?
最初に出会ってから、かれこれ2年くらいになる。
仕事仲間から「この人、インスタでめちゃ人気なんです」と紹介された。
ヘアサロンの激戦区・原宿に店舗がある「ways」の美容師だという。見せてもらった動画にはテンポよくするすると指を動かす彼の姿と、女子以上に女子の気持ちを理解した「作品」がアップされていて、その出来栄えに目を奪われた。
「器用だなー」というのが第一印象。
三つ編みすらきちんと編めない私からすれば、彼の手ワザは神の領域。「こんな簡単にアレンジできたら、毎日が楽しいだろうな〜」とちょっと恨めしくも思ったりして。
その頃、ある媒体で美容連載の仕事を担当することになり、ダメもとで仕事のお願いをしてみた。すると、2つ返事で引き受けてくれたのだ。
一緒に仕事をしてみると、彼のスゴさがよくわかる。彼が作るヘアアレンジは、本当に「簡単」で「可愛い」。その完成度がズバ抜けて高いのだ。
ある日、「なぜ、美容師になろうとしたの?」という質問をしてみた。
「美容師になるというのは自分の意思ではなかったんです。中学校の同級生が“向いているんじゃない?”と勧めてくれて興味を持ったんです」と話す。
ファッションが好きだから、キレイのお手伝いがしたいから、はたまたテレビドラマの影響で美容師になったクチかと思いきや、友達のススメとは……。
でも、その友達は先見の明があった。専門学校を卒業するときには、日本とNYの美容師免許を持つという偉業を成し得て、それから9年間、ただまっすぐに突っ走ってきたという。
「この仕事が自分に向いているかどうか、正直、わからないです。でも、“時間”って裏切らないな〜と実感しますね。自分たちが望むような形になっていくのは楽しいし、やり甲斐があります」と話す。
今はサロンワークの他に、「美容師の能力をもっと高めていきたい」とさまざまなことにチャレンジしていて、今回、ヘアサロンの仲間とモノ作りに挑んだという。
「感想を聞かせて欲しい」と手渡されたのは、シャンコンのセット。
その日の夕方、商品の詳細がメールで送られてきたのだが、目に留まったのは「セカンドシャンプー」という9文字。
「まさかシャンプーを2回しろってこと? でもそれって当たり前だよね」と私のひとり言が聞こえたかのように、メッセージが添えてあった。
「僕たちのお店ではほとんどのお客さまがカラーリングをされます。でも、次の来店までに髪色は褪せ、毛先はもちろん、根元から痛んでいる……その状態でまたカラーリングするんですよ。せっかくキレイになるための提案をしているのに、これじゃ逆効果だな、と感じました。ならば、カラーリングした髪をケアできるシャンコンを作ろうとスタートしたんです」。
退色を防ぐのは、カラーリングした日から約2週間がカギになるという。
「この期間だけ『特別な』シャンプーを使ってもらえればいいんです。退色も防ぎ、髪自体のダメージも最小限に留める。後は、また普通のシャンプーに戻ってもらって結構です」。
フツーならデイリーのシャンプーを作ろうとするのに、「毎日使わなくてもいいシャンプー」を作ったという発想が面白い。
「これからはシャンプーを使い分ける時代になりますよ」という強気な発言。……セカンドって言いながら、“2番目”って思ってないじゃん、ってツッコミそうになったけど、まぁ、いっか。
シャンプーボトルのフタを開けると、繊細なアロマエッセンスの香りがふわりと漂ってくる。
「香水のように香りの変化が楽しめます」と教えてくれた。
面白い。早速、お手並み拝見といたしますか。
最後にもうひとつ質問を。「プロの美容師が好むヘアスタイルって?」。
「んーーーー」と空を見ながらしばらく経った後、「ちょっと考えます」とそっけない返事。あら? 意外に難しい質問? もしかして照れ隠し? この答えを教えてもらうには、もう少し時間がかかりそうだ。
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