アラフォー女の逆襲〜最後の聖戦〜

2019.10.01

アラフォー女の逆襲〜最後の聖戦〜

人生の前半戦を終える40代。
アラフォー女の逆襲が始まる


アラフォーシングルマザーが、友人の紹介で独身男と知り合う。男は34歳。有能な投資家で、総資産は10億円。男は3拍子揃っていた。ルックス、性格、お金。彼女は、ひと目で恋に落ちた。ろくな会話もせず、会って1時間後にはドロン。2人きりになった彼女は、盛りのついた高校生のように1時間の路チューをかまし、男の家に行こうとするも頑なに拒まれ、仕方なく明け方まで飲みに連れ回したという。翌日、自分の評価が気になる彼女は友人を問い詰めた。男は友人にこう言ったそうだ。「もう、参ったよ……」と。

彼女はアラフォーシングルマザーの恋愛を知らなかったのだ。そして、再婚願望も強い。“3組に1組は離婚”の時代、バツイチだけなら希望はある。しかし、それが40代の子持ちとなったらーー。婚活市場における需要は、皆無だ。アラフォーシングルマザーに、高望みと勘違いはご法度。バツあり当然、子がいなかったらラッキーで、チビ、デブ、ハゲも許容する。そしていくら美人でも、自分が“ワケあり女性”であることを忘れてはならない。

一方で、おもてなし精神に溢れるアラフォーシングルマザーがいた。出会いは今風にマッチングアプリ。男は彼女より16歳年下で、スポーツクラブのインストラクター。初デートにしては、いい感じだった。洒落た食事に、スムースな会話。ひと回り以上年齢の離れている男と、互いの世界を分かちあったのだ。2週間後、スポーツ男からドライブデートのお誘いが。そして、あれよあれよという間にラブホテルへ……。いい大人同士が2回目のデートで肉体関係をもつことに、なんら不思議はない。問題は、彼女が“ごぶさた”だったことだろう。股を開けば、心も開く。ただ、彼女は自分の立場をわきまえていた。夢も希望もある20代の男に、アラフォーシングルマザーは分不相応。だからその後、連絡が来て会った時、彼女はこう確認したのだ。「今日はしなくていいの?」と。男は数ヶ月間の情事を楽しんだあと、行方をくらました。

高望みも勘違いもしなかった彼女が、なぜこんな事に? 20代の男にとって、アラフォーシングルマザーは何でもしてくれる“お袋”でしかない。彼女は、若い男のひまつぶしに付き合わされただけだったのだ。

東京にはシングルマザーが約5万人もいて、アラフォー世代がその多くを占める。かくいう私も、そのひとり。もう一生ひとりで生きていくのだろうと覚悟しつつも、ひと筋の希望の光を見出そうとしている。私のまわりにいるアラフォーシングルマザーたちはみんな魅力的だ。身なりに気を遣っているから実年齢より若く見える人が多いし、生活基盤も整っていて、人生経験豊富ゆえの包容力もある。人間的欠陥があるのは、本当に私たちなのか?

後で思った。これらの惨事は、アラフォーシングルマザーに需要がないのではない。すべてを受け入れる覚悟ある男が少ないだけだ。だとしたら、終わった恋はとっとと忘れ、諦めずに果敢に挑み続けるしかない。すでに人生で大きな傷を負った私たちにとって、死ぬ事以外はかすり傷なはずだ。


(Text:星野寺 芽瑠)


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