Editor’s Eye
2018.04.19
- Editor’s Eye
- 宮川一夫氏 [宮川家所蔵]
Editor’s Eyes #70
君は“宮川一夫”を知っているか
〜黒澤明、小津安二郎の映画を支えた陰の名匠〜
その名を聞いて即答できるなら、相当の映画通と言っていいだろう。撮影監督として黒澤明、溝口健二、小津安二郎などなど日本映画が光り輝いていた作品の多くを支えた、名キャメラマンだ。彼の評価に関しては、全世界の映画人が諸手を挙げて絶賛するほど素晴らしく、映画好きを自認するなら全制覇とはいかなくとも、できる限り宮川作品には触れてほしい。
(なお、当時の撮影の舞台裏が垣間見れる貴重な写真を宮川家よりお借りして、記事の最後に掲載しております。)
が、何しろ昭和初期から中期にかけての作品が多く、実際に目にする機会は稀だ。しかも、フィルム時代の作品だけに劣化し、上映すら難しかったり、フィルム自体が散逸してしまっているケースもある。
今年は、宮川一夫生誕110周年という記念すべき年でもある。
日本の映画文化遺産をなんとかせねば、という動きが始まった。ただし、アメリカを中心にという残念なスタートだが…。
この宮川作品のアーカイブを次世代へ残そうという動きの起点となったのは、宮川一夫のご子息である宮川一郎氏だ。
今回インタビューに応じていただいた、宮川一郎氏
「父の遺品の整理をしていて、膨大な数のフィルムや台本が見つかりました。中にはテストで撮影したフィルムや、そのカットのネガが貼ってある台本など、宮川作品の研究だけでなく、黒澤監督や溝口監督などの作品がどうやって作られていったかがわかるくらいです。さて、このような状況の中で、なんとか宮川作品をきちんとアーカイブし、デジタル化することで次世代の映画を目指す人々へ伝えることができないかと考えたのです」。
映画「浮草」のカット割が描かれた台本、ネガ
映画「羅生門」のカット割が書き込まれた台本
映画「羅生門」のフィルム