Editor’s Eye
2016.07.14
- Editor’s Eye
8月はフェスの月。というのが定着したのはここ数年。基本的に野外というのがお約束になっているようだが、あの暑さと天候と疲労感を考えると、億劫になってしまうというのも強ち否定はできない。
そんな大人な事情に応えるかのように、都内でリラックス感満載のフェスがあるのだ。それが “ザ・プリンス パークタワー東京” で開かれる<東京ミュージッククルーズ>だ。なぜ、東京のど真ん中のホテルで音楽フェス?その疑問に答えて頂くには仕掛け人にお話を伺うしかない、というわけで、東京シティエリアのプリンスホテル全てを統括する総支配人・武井氏にご登場いただいた。
ホテル × 音楽は必然のはずだった
なぜホテルで音楽フェスをと考えたのだろうか?武井氏の答えは極めてシンプルだ。
「ホテルの役割というのは、泊まるだけでなく、そこでの食事、更にはエンターテイメントまで含めてのものだと考えています。そのいい例が、ラスベガスのホテルのディナーショーだったりします。自分の中でも1979年ラスベガスでの“ダイアナ・ロス”のショーは理想のひとつとして考えています。ニューヨークのホテルでも、音楽などをホテルのエンタテイメントの一部として完全に設計に取り入れています。 “イアン・シュレイガー” や “デイヴィッド・ロックウェル”、”Ace Hotel” で知られる “ローマン&ウィリアムス” などが手がけるホテルは全てそうですね」。
そんなアメリカのホテルなら必ず考えられている音楽とホテルの関係。それを日本でもと武井氏は考えたのだ。
「そもそもこのホテルにはボールルームがあるし、ライブハウスもある。東京のど真ん中で大人のための音楽フェスをやろうと思えばできるじゃないか、と。そもそもホテルなので宿泊もできるのだから、夜遅くのライブもできるはず。そんなアイデアを詰め込んだ“東京ミュージッククルーズ”を去年からスタートさせました」。
統括総支配人が音楽にこだわるもう一つの理由
武井氏がホテルでの音楽にこだわり続ける理由、それはホテルとしてのエンターテイメント性を東京にも、という思いがゴールにあるのだろうが、その原点はなんだろう。
「実は若い頃からバンドをやっていて “The Band” とかが好きで、今もホテルのスタッフ達とバンドを組んで演奏したりもしているんです」。
やはり!というか単にホテルの集客のためだけに考えられたイベントとは一味も二味も違う理由は、主催者達が心から音楽好きだということだ。
「ホテルの秘密の場所には今でもギターが置いてあって、いつでも弾けるようにしてあるんです(笑)。スタッフにも音楽好きが多く、ホテルスタッフバンドとして今もライブ活動を行ったりするんです」。
トップからして音楽好きならば、なおさらスタッフも全力投球せざるをえないだろう。そうこの<東京ミュージッククルーズ>はホテル全てを使ったイベントということなのだ。
「ホテルとは、アモーレ(愛して)、マンジャーレ(食べて)、カンターレ(歌って)という場所だと思います。音楽を楽しんで、飲んで、食べて、夜まで楽しむ。そして良い夢を見る。そんな場所であって欲しいのです」。
この音楽フェスから、東京のホテルの使い方が変わっていくと面白いだろうな、と思うのだった。
ラインアップもホテルにふさわしく
詳しい日程、スケジュールは専用サイトの方を見ていただくとして、ジャズ、ボサノバ、クラブサウンドと実に幅広い。で、我々が注目したいのが、両日に行われる宿泊プラン限定の<Midnight Live>。深夜11時からはじまるホテル最上階の特設会場(目の前が東京タワー)でのライブだ。アン・サリー、澤田かおりという歌のうまさが光るアーティストによるもの。深夜にちょっと贅沢な感じで昼のフェスの余韻を楽しむというのが、ま、大人というものでしょう、と。
ホテルをどう使うか、何を求めるか。東京に住んでいてホテルとは何なのか。泊まるだけでなく武井氏曰くの<アモーレ、マンジャーレ、カンターレ>の集合体としてもう一度使い倒すいい機会なのではないかと思うのであった。
TOKYO MUSIC CRUISE [東京ミュージッククルーズ]
日時:8月12日(金)5:00P.M.より、8月13日(土) 4:00P.M.より
※一部、翌12:00MID.までのプログラム有り
場所: ザ・プリンス パークタワー東京
ボールルーム(B2)、プリンス芝公園(2F)、メロディライン(1F)他
オフィシャルサイト:http://www.tokyomusiccruise.com/