Editor’s Eye

2014.11.14

Editor’s Eye
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OUT OF TOKYO Vol.1

里山十帖へ

TOKYOWISEとしては、珍しく遠出をすることとなった。
目的は「アーティスト自画絶賛」の取材で、彼の地でイベントに登壇している“川上シュン氏”に会うためだった。というだけのことなんだが、なぜか東京を離れるのが嫌いな自分が出かけたかというと、この里山十帖にとても興味があったからだ。
古民家を改装した旅館というだけでは、昨今それほど珍しくはない。ここは雑誌・自遊人が、自らの編集コンセプトをそのままに作り上げた宿というのだから、同じ編集を生業とするものにとって、興味の対象としてはこの上ないものだからだ。

s140929_176naka そして到着。豪壮な母屋の扉は自動ドアで開く。ふむふむ。そして館内へ。そこで気がつくのが、音だ。響くのだが響きすぎない。心地よい反響。この感覚は、この宿のホスピタリティと共通している。寄り添いすぎない。さりとて突き放されない。ちょうど良い間合い。“遥か群衆を離れて(by ジョン・シュレシンジャー)“な気分を邪魔しない間合い。どことなく京都の旅館さえ思わせるその感じ。

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供される食事も、地産地消をことさらに強調する訳でもないが、ほどよくナチュラル。「大地の恵み」というテーマがすんなりと胃袋に収まっていく感じ。こんなにゆっくりと食事をするのは久しぶりだな、と。

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特筆すべき露天風呂も同じく。目の前に広がる絶景!広大な山々を眺めつつ、いつもより長く湯に浸っていたいと思えてくる。
ここでのすべてが押し付けがましくないのだ。

そう、自分にとっては肩肘張らない気楽な「美山荘」という感じなのだ。

建物、部屋、温泉、食事、サービス、その他諸々をバランスよく調和させるという編集的手法と言ってもいいかな。新潟の里山で、炊きたての白米を食べつつちょっと日本を見直してみたりして。
風呂場の照明をそっと消して眺めた天の川は、旅することの面白さは発見であるという、先人の言葉をふと思い出した。

➢アーティスト川上シュン氏についてはこちら (Text : Y. Nag)
(Photo : Yuuko Konagai)

里山十帖 created by 自遊人
http://www.satoyama-jujo.com

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