鈴木康広展『近所の地球』
水戸芸術館現代美術ギャラリーで開催中
2014.10.03
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日常のふとした発見をモチーフに、人びとの記憶を呼び覚まし共感を生み出す作品を制作しているアーティストの鈴木康広。これまでの代表作と新作を一挙に集めた展覧会が、10月19日(日)まで水戸芸術館現代美術ギャラリーにて開催されている。
自然や日常生活をモチーフに、スタイリッシュな作品に仕上げる
2001 年、NHK の番組「デジタル・スタジアム」で発表した映像インスタレーション《遊具の透視法》が同番組内で最優秀賞を受賞して以来、アートやデザインなどさまざまな方面で活躍する鈴木康広(すずき・やすひろ)。2003 年に発表した《まばたきの葉》は、美術館のみならず多くのパブリックスペースで人気を博し、2009 年にアートディレクションを担当した羽田空港「空気の港」における《出発の星座》ではグッドデザイン賞を受賞。現代アートの分野のみならず、斬新なアイデアによって多岐にわたりその存在感をアピールしているアーティストのひとりだ。
2010 年の瀬戸内国際芸術祭では、海面を切り開く航跡をファスナーに見立てた《ファスナーの船》が話題を呼び、翌年、浜松市美術館で開催された展覧会では『パラパラマンガ商店街』と題し、商店街や市役所でプロジェクトをおこなうなど、美術館のスペースにとどまらず、地域や場所、空間を意識した活動を続けている。
現在水戸芸術館にて開催中の展覧会『近所の地球』では、鈴木氏のこれまでの作品と最新作を展示。本展覧会のタイトルは、代表作《遊具の透視法》の愛称でもあり、自分の近く=近所に身を置きつつ、もっと大きなもの=地球につながろうとする、彼の制作の基本となる考えに基づいて名付けられている。 さらには市内の商店街でも「パラパラマンガ商店街 in 水戸」がおこなわれ、実際に鈴木氏が水戸市中心市街地を散策し、独自の視点で捉えた事象をパラパラマンガに仕立てて商店街の各店舗に展示している。
日ごろ見逃してしまいそうなモノや自然現象を、鋭い感性で別のものに見立て、スタイリッシュな作品に仕上げる鈴木康広。わたしたちの暮らす地球さえ、彼の手腕にかかれば、より親しみやすく驚きに満ちた存在に感じることができるだろう。
鈴木康広展「近所の地球」
日程|8月2日(土)~10月19日(日)
開館時間|9:30~18:00(入場時間は17:30まで)
休館日|月曜日 ※ただし10月13日(月・祝)は開館、10月14日(火)は休館
入場料|一般800 円、団体(20 名以上)600 円
中学生以下、65 歳以上・障害者手帳をお持ちの方と付き添いの方1名は無料
場所|水戸芸術館現代美術ギャラリー
茨城県水戸市五軒町 1-6-8
鈴木康広
1979年静岡県浜松市生まれ。2001年東京造形大学デザイン学科卒業。日常のふとした発見をモチーフに記憶を呼び起こし共感を生み出す作品を制作。国内外の展覧会をはじめ、パブリック・スペースでのコミッションワーク、大学の研究機関や企業とのコラボレーションにも積極的に取り組んでいる。著書は作品集『まばたきとはばたき』(青幻舎)、『Digital Public Art in Haneda Airport空気の港テクノロジー×空気で感じる新しい世界』(共著/美術出版社)。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科専任講師、東京大学先端科学技術研究センター中邑研究室協力研究員。
OPENERSより
ART|日常を驚きに満ちた存在に変えるアーティスト
http://openers.jp/culture/tips_art/news_suzukiyasuhiro_48615.html